サービサーに債権譲渡された場合
この言葉は実在しませんが、半値八掛二割引という言葉をもじったものです。そもそもこの意味は株価について、高値で買った株の底値を計る目安という意味の格言です。
平成25年4月1日以降の中小企業金融円滑化法の期限切れ後に、とある金融関連業種が多忙になってきたと言われています。
それは債権回収会社と言われており、サービサーと呼ばれています。みなさんは債権回収会社と聞くと何をイメージされますか?ちょっと怖い人から頻繁に連絡が来て追い込みを掛けられるイメージがあるようですが、そんなことはありません。
彼らも一般の会社員と同じであり、仕事の専門がお金の回収業務なだけであり、全然怖くありません。私も彼らと会いますが、彼ら曰く私の方が怖いみたいです。
ちなみにサービサーと言われている債権回収会社は世間一般のイメージとは違い、会社を容認してもらうためには、以下の要件をクリアーしない限り業務が出来ないのです。
1.資本金5億円以上
2.取締役に弁護士を入れること
3.法務省から許認可をもらうこと
4.商号に債権回収会社という呼称を必ずいれること
5.債権管理回収業を適正に遂行するに足りる人的構成になっていること
その他、3つありますが役員や社員に犯罪者や暴力団に在籍していたかどうかの項目になります。このように適格要件を厳しくしており、私が事業再生を取組んでいる中で、このサービサーの社員さんに感じることがあり、上記5.に該当する部分です。
それではサービサー社員の過去の経験はどんなイメージだと思いますか?
一番多いのは商工ローンや消費者金融に在籍していた方が圧倒的多数です。その他、元銀行員やリース会社に在籍していた方が多いように思います。
商工ローンと消費者金融の方はまさしく回収のプロになります。ですから債務者からすれば社員のイメージと会社名に債権回収会社と入っているので、怖いと言うイメージが定着しているのではないでしょうか。
また、銀行やノンバンクなどから融資を受けて返済できなくなると、債権者の銀行やノンバンクは債権を安い価格でサービサーに譲渡します。このことを業界では債権譲渡と言います。この債権譲渡の金額は大まかにお伝えすると3パターンに分かれているような気がします。
1.会社の担保付の債権。譲渡価格が一番高いです。
なぜなら不動産を売却した金額は債権回収できるからです。もちろんいくらという部分は債権者とサービサーとの交渉になるので分かりませんが、サービサーは想定回収期間(不動産が売却できるまでの時間に必要になる人件費やその他コスト)・想定売却価格を考えて購入します。
2.個人の消費者金融や銀行のカードローンなどの残高が300万円以下の少額債権。
以外にもこの類の債権は安いようで高い金額で仕入れています。あくまでもイメージですが業界関係者に聞いている話では2~3割で仕入れているようです。
3.会社の無担保債権。この債権が一番安いです。
よくこの債権のことを業界では、『ポンカス』なんて言っています。(笑)仕入値は債権金額の8~15%だと言われています。
このようなイメージで返済できなくなった債権は、債権の種類別で一斉入札をかけるか、持っている債権の種類別でまとめて一斉入札をして、一番高い金額で入札してくれた債権回収会社に債権を譲渡(販売)します。
ちなみに1億円の無担保債権を10%でサービサーに債権譲渡された場合、1000万円の支払いをすれば大丈夫という間違った考えが伝わっています。法的には1億円の債権の支払義務は1億円であり、債務者が債権者でもあるサービサーと支払交渉の過程で、おたくが仕入れた値段は大体わかっているので、一括で準備するからいくら支払えばいいのか教えてくれという交渉にもならない交渉をする社長さんが多いです。
このことを言えばサービサーの担当者が激高するのは間違いありません。このようなケースでサービサーの社員はこのように言います。弊社がいくらで仕入用が債務者には関係ありません。弊社が購入した債権額の額面は銀行さんから譲渡された金額なので、原則、1億円の支払義務が債務者には生じます。
要は素人がサービサーと交渉しても、基本的に交渉術はないので、概ね上記内容のように相手に心証を悪くしてしまうケースが多いです。
しかしながらサービサーが仕入れている値段は債権の状態にもよりますが、8%~30%程度です。IT化の進展で情報入手はしやすくなりました。しかしながら間違った情報も多く、困っている債務者からすれば、どのようにすればいいのか分からないのも実情です。
半値八掛八割引=1億円×50%-4000万円=1000万円(債権譲渡金額)の意味を理解して、交渉術のある社長さんであれば、半値八掛八割引で債務カットが出来る可能性もあるでしょう。
以外にもこの情報は知られているようで知っている方は非常に少ないと思います。決して前向きな情報ではないかと思いますが、実は、このような情報をさりげなく中小企業経営者に情報提供するコンサル会社は少ないです。