銀行融資のリスケが難航した場合!経営者が知っておくべき対応策と裏ワザ
銀行融資の返済に苦心されていませんか?景気の変動、予期せぬ事業環境の変化、そして昨今の世界情勢。これらの要因が重なり、多くの中小企業が資金繰りに窮している現状があります。
そんな中、銀行への返済計画の見直し、いわゆる「リスケジュール(リスケ)」を考えている経営者も少なくないでしょう。しかし、このリスケが思うようにいかず、難航するケースが増えています。
なぜリスケは難しいのか?どうすれば銀行と上手く交渉できるのか?
本記事では、リスケ交渉の裏側にある銀行の本音や、交渉を成功に導くための実践的なテクニック、さらには代替案まで、経営の第一線で活躍する専門家の知見をもとにご紹介します。
厳しい状況だからこそ、正しい知識と戦略が必要です。この記事を通じて、あなたの事業を守り、再び成長軌道に乗せるためのヒントを見つけていただければ幸いです。
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目次
リスケ難航の現実:あなたは一人じゃない
多くの経営者が、銀行融資のリスケジュール(以下、リスケ)に苦心しています。「自分だけがこんなに苦労しているのでは?」と思われるかもしれません。しかし、そんなことはありません。あなたは決して一人ではないのです。
経営者の本音「なぜ銀行は分かってくれないのか」
- 「これまで真面目に返済してきたのに、なぜ銀行は柔軟に対応してくれないんだ」
- 「一時的な困難を乗り越えるだけなのに、なぜこんなに厳しい態度をとるんだろう」
- 「銀行は企業を支援する立場なのに、なぜ寄り添ってくれないんだろう」
こうした思いを抱いている経営者は少なくありません。銀行との交渉が難航するにつれ、不信感や失望感が募っていくのは自然なことです。
しかし、ここで重要なのは、銀行にも銀行の事情があるということです。彼らも様々な規制や内部基準に縛られており、単純に「わかってくれない」わけではありません。この点については後ほど詳しく解説します。
リスケ難航の実態と統計
リスケの難航は、決して珍しいことではありません。日本政策金融公庫の調査によると、中小企業の約30%が過去5年間で金融機関に返済条件の変更を申し込んだ経験があるとされています。
さらに、その中の約40%が「交渉に苦労した」と回答しています。つまり、リスケを申し込んだ企業の半数近くが、何らかの形で難航を経験しているのです。
多くの経営者が同じ悩みを抱えており、そして、その中から道を切り開いた先人たちもいるのです。次の章からは、このリスケ難航の状況を打開するための具体的な方策を見ていきます。銀行の本音を理解し、効果的な交渉を行うためのヒントをお伝えしていきます。
銀行の本音を読み解く
リスケ交渉を成功させるためには、銀行の立場や考え方を理解することが不可欠です。ここでは、銀行がリスケに難色を示す理由と、銀行員の評価基準について解説します。
なぜ銀行はリスケに難色を示すのか
銀行にとって、リスケは貸し出したお金の回収が遅れることを意味します。これは銀行にとってリスクが高まることを意味し、慎重にならざるを得ません。また、銀行は自己資本比率を一定以上に保つことが法律で義務付けられています。リスケにより債権の質が低下すると、この比率に悪影響を与える可能性があります。
さらに、リスケにより金利収入が減少したり、支払いが遅れたりすることで、銀行の収益性が低下します。一社のリスケを安易に認めると、他の取引先からも同様の要求が出る可能性があり、これは銀行全体の経営に大きな影響を与えかねません。
加えて、単にリスケを行っても根本的な問題が解決されないと、再びリスケが必要になる可能性があります。そのため、銀行は借り手の経営改善の見込みを慎重に見極めようとするのです。
銀行員の評価基準と私たちの立場
銀行員、特に融資担当者は、いくつかの基準で評価されることが多いです。まず、担当する取引先の融資残高を維持または増やすことが求められます。次に、担当先が返済不能に陥ると、担当者の評価にも影響します。また、担当先からの金利収入や手数料収入が評価の対象となります。さらに、新たな優良取引先を開拓できるかも重要な評価ポイントです。
これらの評価基準を考慮すると、リスケは銀行員個人の評価にもネガティブな影響を与える可能性があります。そのため、担当者個人としても慎重にならざるを得ない事情があるのです。
経営者の立場からすると、このような銀行の事情は理不尽に感じるかもしれません。しかし、銀行もビジネスを行う組織であり、さまざまな制約の中で意思決定を行っていることを理解する必要があります。
ここで重要なのは、銀行の立場を理解した上で、いかに自社の状況と将来性を効果的に説明し、銀行と「Win-Win」の関係を築けるかということです。
リスケ交渉を有利に進めるための準備
リスケ交渉を成功させるカギは、徹底的な事前準備にあります。ここでは、銀行を納得させるための経営改善計画の立て方と、具体的な資料の準備について解説します。
経営改善計画:絵に描いた餅ではダメ
経営改善計画は、単なる願望の羅列であってはいけません。銀行が求めているのは、具体的で実現可能な計画です。以下のポイントに注意して作成しましょう。
現状分析を徹底する
自社の強みと弱み、市場環境、競合状況を冷静に分析します。「なぜ資金繰りが厳しくなったのか」という根本原因を明確にすることが重要です。
具体的な改善策を示す
「売上を増やす」「経費を削減する」といった漠然とした目標ではなく、「新商品Aを開発し、既存顧客に販売する」「広告費を20%削減し、効果の高いWeb広告にシフトする」など、具体的な行動計画を立てます。
数値目標を設定する
「3年以内に営業利益率を5%に引き上げる」「1年後に月商を現在の1.2倍にする」など、明確な数値目標を設定します。これらの目標は、後述する財務計画と整合性がとれていることが重要です。
実行スケジュールを明確にする
改善策をいつまでに、誰が責任を持って実行するのかを明確にします。銀行は計画の実現可能性を重視します。
数字で語る:銀行が欲しがる具体的な資料とは
銀行は数字に基づいた客観的な判断を行います。以下の資料を準備し、説得力のある提案を行いましょう。
詳細な資金繰り表
今後1年間の月次の資金繰り表を作成します。売上、仕入、経費、借入返済などの項目を細かく記載し、資金ショートを起こさないことを示します。
3〜5年間の財務計画
損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の3つの計算書を、今後3〜5年分作成します。経営改善計画と整合性のとれた数字を示すことが重要です。
返済シミュレーション
現在の返済計画と、希望するリスケ後の返済計画を比較したシミュレーションを作成します。銀行にとってのメリット(例:貸倒れリスクの低減)も明確に示します。
担保評価資料
保有する不動産や在庫などの担保物件について、最新の評価額を示す資料を用意します。場合によっては、追加担保の提供を検討することも有効です。
業界動向資料
自社の業界の将来性や、競合他社との比較データなどを用意します。これにより、自社の位置づけと今後の成長可能性を示すことができます。
これらの資料を準備する際は、必要に応じて税理士や財務コンサルタントなどの専門家のサポートを受けることをおすすめします。プロの目線で作成された資料は、銀行に対する説得力が格段に上がります。
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交渉の極意:銀行を味方につける方法
リスケ交渉を成功させるには、準備した資料を適切に活用しながら、銀行担当者との良好な関係を築くことが重要です。ここでは、銀行を味方につけるための交渉テクニックとコミュニケーション術をご紹介します。
「NO」と言わせない交渉テクニック
事前の情報収集を徹底する
交渉の前に、担当者の性格や銀行の方針などの情報を可能な限り収集します。取引先や同業者からの情報も役立つでしょう。
段階的な提案を準備する
最初から最善の条件を提示するのではなく、複数の選択肢を用意します。例えば、返済期間の延長、金利の引き下げ、一時的な元金返済猶予など、段階的な提案を準備しましょう。
Win-Winの関係を強調する
リスケが銀行にとってもメリットがあることを説明します。例えば、「リスケにより当社の経営が安定すれば、将来的に新規融資の可能性が高まる」といった点を強調します。
具体的な経営改善策を示す
単に返済条件の変更を求めるのではなく、自社の経営をどのように改善していくのかを具体的に説明します。これにより、銀行側の不安を和らげることができます。
担当者の心をつかむコミュニケーション術
誠実さを示す
決して嘘をつかず、困難な状況も隠さずに伝えます。正直に状況を説明することで、信頼関係を築くことができます。
感情をコントロールする
交渉が思うように進まなくても、感情的にならないよう注意します。冷静さを保ち、論理的な議論を心がけましょう。
担当者の立場を理解する
銀行員にも様々な制約があることを理解し、共感の姿勢を示します。「担当者さんのご苦労はよくわかります」といった言葉を適切に使うことも効果的です。
定期的な報告を約束する
リスケ後の経営状況について、定期的に報告することを自ら提案します。これにより、銀行側の不安を軽減し、継続的な支援を得やすくなります。
感謝の気持ちを伝える
交渉の場だけでなく、日頃から感謝の気持ちを伝えることが大切です。銀行との良好な関係は、今後の事業展開にも大きく影響します。
リスケが難航したときの緊急対策
メインバンクとのリスケ交渉が上手くいかない場合でも、まだ選択肢はあります。ここでは緊急対策として、代替融資の探し方と債務整理のタイミングについて解説します。
代替融資の探し方 地銀・信金・政府系金融機関の活用
メインバンクでリスケが難しい場合、他の金融機関からの借り入れを検討しましょう。地方銀行や信用金庫は地元企業の支援に積極的な場合があります。あなたの事業の地域における重要性や将来性を強調することで、融資を受けられる可能性があります。
政府系金融機関も有力な選択肢です。日本政策金融公庫や商工組合中央金庫は、中小企業支援のための様々な融資制度を用意しています。経営改善に取り組む企業向けの特別な融資制度もあるので、積極的に検討しましょう。
これらの金融機関にアプローチする際は、綿密な事業計画の作成が重要です。将来の収益性と返済能力を明確に示すことで、新規融資の可能性が高まります。
債務整理のタイミング 最後の手段をいつ考えるべきか
債務整理は最後の手段ですが、状況によっては検討が必要です。資金繰りの悪化が慢性的になっている、借入金の返済が遅延し始めている、税金や社会保険料の滞納が発生しているなどの兆候が見られる場合、債務整理を考えるタイミングかもしれません。
債務整理には任意整理、民事再生、会社更生、破産など、いくつかの方法があります。どの方法が適切かは企業の状況によって異なります。早めの判断が重要で、手遅れになる前に専門家に相談することをお勧めします。
専門家のサポートを受ける
リスケの難航や債務整理の検討は、経営者一人で判断するには荷が重すぎます。各地の商工会議所や中小企業支援センターでは、経営相談や金融相談の無料サービスを提供しています。また、弁護士会や税理士会などの専門家団体でも、初回無料相談を実施していることがあります。
これらの無料相談サービスを積極的に活用し、専門家の客観的な意見を聞くことが大切です。経験豊富な専門家のアドバイスは、難しい局面を乗り越えるための大きな力となるでしょう。自社の状況を一人で抱え込まず、早めに相談することで、より良い解決策を見出せる可能性が高まります。
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成功事例に学ぶ:リスケを乗り越えた経営者の声
リスケは困難な道のりですが、多くの企業がこの危機を乗り越え、再び成長軌道に乗っています。ここでは、実際にリスケを成功させた2社の事例を紹介します。
事例①:危機を好機に変えた経営改革
製造業のA社は、主力製品の需要減少により業績が悪化し、銀行融資のリスケを余儀なくされました。しかし、社長はこの危機を転機と捉え、財務コンサルタントの助言を受けながら、大胆な経営改革を実行しました。
まず、社内の意識改革から着手しました。全社員に現状を正直に説明し、改革への協力を求めました。次に、不採算部門の整理と新規事業への投資を同時に行いました。銀行に対しては、詳細な経営改善計画を提示し、定期的な進捗報告を行いました。
この結果、リスケから3年後には業績が大幅に改善。銀行との信頼関係も強化され、新規融資も受けられるようになりました。A社の社長は「危機感を全社で共有し、変革に挑戦したことが成功の鍵だった」と振り返っています。
事例②:銀行との関係修復によるV字回復
小売業のB社は、過剰な店舗展開により資金繰りが悪化し、メインバンクとの関係も冷え込んでいました。リスケ交渉は難航しましたが、社長は粘り強く交渉を続けました。
まず、財務コンサルタントの助言を受けながら、実現可能性の高い経営改善計画を作成しました。銀行との面談では、計画の詳細な説明に加え、自社の強みや将来性についても熱心に語りました。
また、月次での経営状況報告を欠かさず行い、小さな改善でも必ず報告しました。この誠実な姿勢が功を奏し、徐々に銀行との信頼関係が回復。最終的には、銀行側から経営改善のアドバイスを受けられるまでの関係になりました。
リスケから2年後、B社は顕著なV字回復を果たしました。社長は「銀行を敵対視せず、パートナーとして接することで道が開けた」と語っています。
⇒【関連記事】実際にエクステンドで手がけた資金繰り改善、事業再生を事例
リスケは困難な過程ですが、これらの成功事例が示すように、乗り越えることは決して不可能ではありません。しかし、すべての企業にとって状況は異なります。自社の状況に最適な戦略を立てるには、専門家のアドバイスが役立つでしょう。
多くの地域で、商工会議所や中小企業支援センターが無料の経営相談サービスを提供しています。また、中小企業診断士や弁護士による初回無料相談も利用可能です。一人で抱え込まず、これらの支援を積極的に活用することをお勧めします。
専門家の客観的な視点は、あなたの会社を新たな視点で見直すきっかけとなるかもしれません。困ったときこそ、躊躇せずに相談してください。あなたの会社の再生への道が、そこから開けるかもしれません。
プロの力を借りる:専門家の上手な使い方
リスケ交渉や経営改善には専門的な知識が必要です。財務コンサルタントと弁護士という二つの専門家の活用方法を解説します。
財務コンサルタント 数字のプロに経営改善を任せる
財務コンサルタントは財務のエキスパートで、特に財務分析や経営改善計画の策定に強みがあります。財務状況の分析、実効性のある経営改善計画の策定、銀行交渉用資料の作成などを担当します。
財務コンサルタントを活用する際は、自社の状況を包み隠さず説明し、一緒に改善案を考えることが重要です。定期的なフォローアップを依頼し、PDCAサイクルを回すことで効果が高まります。財務コンサルタントの活用は早めの相談が重要です。状況が悪化する前に相談し、適切な役割分担を行うことがポイントです。
弁護士 交渉の切り札として活用する
弁護士は法律の専門家で、債権者との交渉や契約書の作成で強力な味方となります。リスケ交渉における法的アドバイス、債権者との交渉代行、契約書のチェックなどが主な役割です。
専門家の力を借りる際は、自社の状況を正確に伝え、複数の専門家の意見を聞いて自社に合った人選をすることが大切です。また、専門家任せにせず、経営者自身も積極的に関与しましょう。
無料相談サービスの活用
専門家への相談には費用がかかると思われがちですが、初回無料相談や公的機関による無料サービスも多数あります。商工会議所や商工会の経営相談、中小企業支援センターの専門家派遣制度、弁護士会や中小企業診断士協会の無料相談会などを積極的に活用してください。
エクステンドでは、経営者からの無料相談を受け付けています。新たな資金調達を得たいや、返済・資金繰りが厳しいなどの財務でお悩みでしたらお気軽にご相談ください。まずは下記バナーより「無料相談」をご利用ください。
リスケや経営改善は一人で抱え込むには荷が重すぎます。困ったときこそ、躊躇せずに専門家の力を借りてください。プロの視点があなたの会社を救う道筋を示してくれるかもしれません。
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まとめ リスケ難航を乗り越え、再起を果たすために
リスケ交渉の難航は厳しい現実ですが、これを乗り越えて再起を果たすことは可能です。最後に経営者としての心構えと具体的なアクションプランをお伝えします。
経営者としての覚悟と心構え
現状を冷静に受け止め、問題の本質を直視する勇気を持ちましょう。変革への決意を固め、これまでのやり方を変える覚悟が必要です。道のりは険しいかもしれませんが、諦めずに粘り強く取り組むことが大切です。そして、一人で抱え込まず、社員や取引先、専門家の力を借りることを躊躇しないでください。
明日からできる具体的なアクションプラン
まず財務状況を細かく分析し、問題点を洗い出します。次に、実現可能な目標と具体的な施策を盛り込んだ経営改善計画を策定します。この計画を銀行に説明し、協力を求めましょう。
社内では全社一丸となって改善に取り組む体制を作り、すぐにできるコスト削減策を実行します。同時に、既存顧客へのアプローチ強化や新規顧客開拓など、売上増加策も始めます。
計画の進捗は定期的にチェックし、必要に応じて軌道修正します。また、財務コンサルタトンの専門家のアドバイスを適宜受けることも重要です。これらのアクションを一つずつ着実に実行していくことが、再生への道筋となります。
もし一人では難しいと感じたら、躊躇せずに専門家の力を借りてください。エクステンドでは、経営者からの無料相談を受け付けています。粉飾決算がもう限界、新たな資金調達を得たいや、返済・資金繰りが厳しいなどの財務でお悩みでしたらお気軽にご相談ください。まずは下記バナーより「無料相談」をご利用ください。
リスケ難航という苦境は、同時に企業を強くするチャンスでもあります。この危機を乗り越え、より強固な経営基盤を築く機会として捉えてください。あなたの決断と行動が、会社の未来を切り開くのです。