不動産登記簿謄本の整備と金融機関の見方
先日、打ち合わせをした企業の事例です。こちらの企業と打合せさせていただくにあたって、不動産の状況がかなり入り組んでいると聞いていたので、事前に、不動産の登記簿謄本や公図や固定資産評価明細を用意しておいてもらいました。
それを拝見してから、当日の打合せに臨んだのですが、ご認識されていたことと、実際の登記内容が、いくつか異なっていることが、わかりました。
また、ご認識はしているのですが、借入は完済している状況なのに、抵当権や根抵当権がそのままになっていたり、登記の申請を了解した覚えがないのにもかかわらず、根抵当権が設定されていたり、と一つずつ当時の状況を思い出してもらい、把握をおこなっていきました。
加えて、贈与登記をしたり、それを錯誤登記でやり直したり、資金の出し手と名義割合が合っていなかったりと、その当時の人間模様も浮かび上がってきて、こんなことを言ってはいけませんが、今後の企業経営に関わらせていただくにあたって、なかなか興味深い時間となりました。
1件ずつ、何か正しくて、どう対応すればよいのか、の方針を決めて、順序立てて、整備していくことになりました。
その打合せの中で、以前に、地方銀行が営業に来られ、融資取引の話になったことがあったが、結果、ダメになったことを話してくださいました。ダメになった要因は、地方銀行曰く、不動産登記簿謄本の記載内容が要因でした。
様々な借入先や債務者から抵当権や根抵当権を設定されている(正しいものもあれば、そうでないものも含めて)ことで、引いてしまわれたということでした。
この地方銀行に、これは正しい登記で、これは正しくない登記である、と言葉で説明したとしても、登記上、このように登記が打たれている状況では、稟議で通らなかったとのことです。
地方銀行の担当者としては、融資をしたいはずですが、謄本の整備をきちんと対応していなかったことで、ご縁がないものとなってしまったということでした。
複雑な登記状況ではありますが、順序立てて、適正・的確に対応していくことで、正しい状態に戻していきたいと思います。その後、金融機関との取引を拡大して参ります。(金融機関が貸したい企業になっていきます)
執筆:坂将典