事業承継の時によく聞く「持株会社」とは
持株会社についてお話をさせていただきます。事業承継等のお話を聞かれた際に持株会社という言葉をお聞きになられたかたも多く見えるかと思います。
持株会社とは、他の株式会社を支配する目的で、その会社の株式を保有する会社を指す。ホールディングカンパニー(Holding=保持、保有)とも呼ばれております。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法。以下「独禁法」)では、「子会社の株式の取得価額(最終の貸借対照表において別に付した価額があるときは、その価額)の合計額の、当該会社の総資産の額に対する割合が百分の五十を超える会社」を持株会社と定義するとあります。
代表的な持株会社の作り方について
1.抜殻方式
自ら行っている事業を子会社に移しその会社自身は持ち株会社に移行する方式。
2.株式移転方式
持ち株会社となる完全親会社を、株式移転によって新規に設立する方法。
3.株式交換方式
既存の会社を株式交換によって完全親会社に仕立て上げる方法。
注:上記以外の特殊なケースも少数ですが存在します。
持株会社の主なメリットについて
- 新規事業の立ち上げがしやすい。
- 経営統合で合意済みの他企業に対する買収、グループ化(M&A)がし易い(友好的買収)。
- 親会社への直接的敵対的買収を通じて、傘下会社の間接的敵対的買収がされる事態が実質不可能となる。
- 傘下の各社への権限の委譲がしやすい。
- 柔軟な人事制度の導入がしやすい。
- 子会社からの受取配当金に関して、全額益金不算入扱いとなる。
持株会社の主なデメリットについて
- 子会社から見た場合、親会社(持株会社)への「お伺い」が増えてしまう。
- 各子会社(事業会社)間の横の連携がしにくい。
- 労働条件の交渉について、使用者側の窓口(実際の雇用関係のある子会社なのか、子会社に対して実質的な経営権を有する持株会社(親会社)なのか)が不明となる。
- 特に純粋持株会社(親会社の主たる収入が子会社からの配当である形態)の場合、持株親会社単体では子会社より信用リスクが大となるため、格付上の「ねじれ」が生じるケースがある。
- 持株会社およびその子会社に赤字企業がある場合、グループ全体に信用不安が連鎖し、個別企業と見た実力よりも資本市場において株価を通じて過小評価されるいう状態に陥る。
- 財閥解体を経て構築された経済システムの有名無実化に繋がる
上記の様に持株会社には色々なメリット・デメリットが存在しますので専門家の方にご相談される事を
お勧めします。
執筆:山中肇