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事業再生(企業再生)に適した4つの手段とタイミングの重要性

新型コロナウィルスの世界的な流行や、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う原材料費の高騰、急速に進む円安など、日本経済を取り巻く環境は厳しいものとなっています。中小企業の中には、このような要因によって事業状況が悪化し、会社存続の危機に立たされている企業もあるのではないでしょうか。

 

会社を継続させるためには、現状を見直し、債務の整理を視野に入れながら事業を再生させる必要があります。中小企業の事業再生方法には、主に4つの方法があります。ここでは、中小企業の事業再生に適した方法をご紹介します。

 

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事業再生(企業再生)とは倒産を回避する手段

事業再生(企業再生)とは倒産を回避する手段

 

事業再生とは、厳しい状況に置かれた事業を立て直し、倒産を回避するものです。事業再生では債務の整理を行い、借入金や買掛金の弁済、支払い期限の延長等の調整も行います。そのうえで収益性が高く、将来性のある事業を軸に据え、採算の取れない事業や競合他社との差別化が難しい事業などを縮小または改善することで、事業を継続させていきます。

 

また、事業再生には、法的な整理を用いる民事再生や会社更生、企業が任意で債務の整理を行う私的再生などがあります。このうち、会社更生法に基づき、裁判所が介入して債務整理を行う会社更生は、複雑な手続きが必要なものであり、手続きにも時間がかかることなどから、関係する企業の多い大企業が利用することの多い方法です。

 

中小企業の事業再生の場合は、会社更生に比べて比較的短時間で手続きを進められる民事再生や自力再生、その他の方法が用いられることがほとんどです。

中小企業に用いられることの多い事業再生の方法とは

中小企業が事業再生を検討するときに用いられることが多い手法を4つご紹介します。

法的再生:民事再生

民事再生とは、民事再生法に基づき裁判所に申し立てることで手続きを行う債務整理の方法です。民事再生は会社の規模にかかわらず利用できる仕組みで、会社の経営者を変更することなく事業の再生を図ることができます。

 

民事再生のメリットは、債務の一部の免除または弁済の猶予が受けられることであり、経営陣が退陣することなく事業の再生に取り組める点にあります。しかし、民事再生は裁判所が介入するため、民事再生の申し立てがあったという事実が公表され、取引先や仕入れ先などとの関係に影響を与える可能性が生じます。

 

一般的には、事業再生を検討する際に、第一段階として民事再生を検討するケースは多くありません。自社による事業の再生や私的再生が難しいと判断した場合に、法的再生である民事再生に進むケースが多くなっています。

 

【関連記事】民事再生法活用した事業再生事例 社内再構築と収益改善が成し遂げた再生

私的再生

私的再生とは、裁判所が介入しない債務整理の方法です。民事再生の場合、民事再生の申し立てを行ったという事実が公になるため、外部にマイナスのイメージを与えてしまう可能性があります。

 

私的再生では、法律に則った手順を踏む必要がないため、企業の規模や状況に合わせて自由に事業再生を実行できます。また、事業再生に取り組んでいるという事実が外部に知られることはないため、会社の信用を損なうことなく事業を継続できるといったメリットもあります。しかし、私的再生では債権者との協議や債権者集会などを開催し、事業再生計画について債権者全員の手続きが必要となる点に注意が必要です。

 

私的再生を図る際には、私的整理に関するガイドライン研究会が公表している「私的整理に関するガイドライン」や「事業再生ADR」、「中小企業活性化協議会」などの支援機関を活用して事業再生を進めるケースが多くなっています。

M&Aによる事業再生

M&Aとは企業の買収や合併を行うことで、事業再生の手段としてM&Aを選択するケースもあります。事業再生を考える中小企業の場合、債務が超過していたり、収支が赤字だったり、決して経営が順調な状態にはありません。しかし、赤字が続いている事業であっても、他の企業にとっては事業拡大のチャンスにつながる可能性があるなど、魅力的に映る場合もあるのです。

 

事業再生を目指したM&Aには、不採算事業や一部のノンコア事業を別の会社に譲渡する事業譲渡と、株式を買い手側の企業に売却して事業の一部を継承する株式譲渡の方法があります。

 

【関連記事】倒産や廃業を回避するM&Aという選択肢

第二会社設立などによる事業再生

債務超過の企業では、収益性の低い不採算部門と収益性の高い部門がはっきりとしていることが少なくありません。そのようなケースでは、不採算部門をそのまま残し、収益性の高い事業を会社分割や事業譲渡などによって切り離して運営する方法があります。これは第二会社方式と呼ばれる方法で、新たな法人(第二会社)を立ち上げて収益部門の事業を継承し、不採算部門を残した元の会社は特別清算などを行うものです。

 

この第二会社方式のメリットは、税務上の損金算入の手続きが簡単にできることなどから、出資するスポンサー企業や融資を行う金融機関からの理解を得やすい点にあります。また、不採算事業を切り離し、収益性の高い事業だけに注力していくため、事業再生を実現できる可能性が高くなる点もメリットだと言えるでしょう。

 

【関連記事】実際にエクステンドで手がけた資金繰り改善、事業再生事例

中小企業の事業再生はタイミングが大切

中小企業の事業再生はタイミングが大切

 

経営不振に陥った場合、会社を再生させるか、倒産するかのどちらかを選ばなければなりません。この先も事業を継続させたい、会社と従業員を守っていきたいと考える経営者であれば、事業再生の選択をするケースが多いでしょう。

 

しかし、事業再生の道は決して簡単ではありません。もし、簡単に事業を再生できるようであれば、業績が伸びずに債務が増えることもなかったでしょう。債務が増えてしまった背景や、事業が思うように収益を伸ばせない裏側には、必ず原因があるはずです。業績不振の原因が分かっていても、どうして良いのか改善策が分からずに悩んでいる場合もあるかもしれません。また、原因を見つけられなくても、とにかく今できることを必死にやろうと頑張っている方もいらっしゃるでしょう。

 

事業再生を成功させるためには、まず事業の不振を招いている原因を追究すると同時に、債務の整理についても考える必要があります。経営者は経営のプロではありますが、事業再生に携わってきた機会は多くないはずです。事業再生の成功には「どの手段を選ぶか」という選択も重要ですが、同じように「タイミング」も重要となります。

 

自力による立て直しが可能なタイミングが過ぎれば、私的再生を考えなければならなくなります。私的再生も難しい段階まで進んでしまえば、民事再生の検討が必要になります。

 

業績悪化に悩んでいるようであれば、できるだけ早く経営コンサルタントに相談し、事業再生の道を検討することをおすすめします。

 

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まとめ

中小企業が事業再生をする場合、4つの方法が考えられます。法的整理である民事再生の場合、経営状況が厳しい状態であることが広く知られることとなってしまいます。もし、関係する企業の経営状況が厳しいと知ったら、自社に影響が及ぶことを懸念し、進んで取引をしたいとは思わないでしょう。したがって、事業再生においては民事再生という選択は最終手段となります。

 

収益を改善させ、事業を再生させたい場合には、タイミングを見逃さず、できるだけ早めに事業再生のノウハウを持つ経営コンサルタントに相談することをおすすめします。

 

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