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買い手企業のM&A案件獲得ための実務フロー

ここまでのところで、とくに買い手企業にとってM&Aは戦略に従うものであり、戦略的ビジョン(ゴール)を達成するための(目的ではなく)手段であることを時折お伝えして参りました。

 

ここでは、戦略としてM&Aを行うことを意思決定した後の案件獲得のための実務フロー(体制構築)を5段階で説明したいと思います。

関係者共通認識の醸成(チームの組成)

今後戦略としてM&Aを行うとことを決定した決定者或いは決定した機関、実際の実務者、取得した事業・企業の運営責任者或いは担当部署がバラバラであることが一般的だと思います。

 

決して、M&Aで事業・企業を取得してから、初めて運営責任者がその旨が伝わるという事態にならないように、運営責任者もM&A担当チームに巻き込んでおくことは重要です。また、当該に取得後の該当事業の運営(責任)者、部署の巻き込みは重要。また、買い手企業トップのM&Aへの直接関与は非常重要ですので、可能なら、M&A担当チームはトップの直下という組織構造が望ましいでしょう。

投資決定ルールとルートの決定

ここで大切なことは、意思決定或いは何からのリターンを相手方(売り手側)にするまでの時間です。そのためには、

 

・検討可能な基準(定性・定量とも)を明確化した投資決定ルール

 

・投資意思決定までのルート

 

を事前に決定しておきましょう。

対外発信と吸い上げルートの徹底

戦略としてM&Aを行うことを意思決定したことを、対外的に発表可能な場合は、積極的に発信・PRしましょう。そうすることで、M&Aアドバイザーから案件が持ち込まれる機会が増えることに繋がります。

 

また、代表電話、問い合わせメールフォームなど会社のすべてのコンタクトポイントからM&Aの案件情報は、M&A担当チームに伝わるように徹底することも重要です。

M&Aアドバイザーへの説明資料の作成

案件探索を依頼するM&Aアドバイザーにいつ、何を、なぜ、どのように取得したいのかを説明する資料を自社のM&Aニーズの整理にもなりますので、作成することをオススメいたします。その際、以下のような内容を盛り込むといいでしょう。

 

・(買い手の)会社・事業概要

 

・中長期の(成長)戦略

 

・戦略ゴール達成のためのM&Aニーズ

 

・投資決定ルールとルート(上記の(2)に相当)

 

・過去のM&Aの実績

M&Aアドバイザーの選定

ここまで決定したのち、買い手企業場合は、複数の適切なアドバイザーを選定し、案件探索並びにその後の交渉を依頼することになります。

 

その際

 

・報酬(最低報酬と報酬支払のタイミングと報酬額の算定方法)

 

・M&Aアドバイザーの実績並びにネットワークの確認

 

・担当M&Aアドバイザー或いはM&Aアドバイザー会社の信頼性

 

を確認するといいでしょう。

 

本日は、少し戦術的で実践的なお話でした。

 

 

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この記事の著者

  • 松原 良太

    ・青山学院大学経済学部 卒業
    ・オーストラリアボンド大学 大学院 経営学修士課程(MBA)修了。
    ・財団法人日本M&Aアドバイザー協会 代表理事
    ・株式会社ビザイン 代表取締役パートナー
    ・AMD capital management 株式会社 代表取締役
    ・株式会社ビザイン・ファミリー・アドバイザーズ 取締役
    ・近著(共著):この1冊でわかる-M-A実務のプロセスとポイント

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