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M&A売り手側の情報・資料を保証するのは誰か?

本日のお話は、M&Aに関する契約書の細部についてのお話をしてみようと思います。こんにちは。エクステンドM&A担当の松原です。

 

M&Aのご支援をする時に、売り手側、買い手側に関わらずお客様とM&Aアドバイザーが秘密保持契約とフィナンシャル・アドバイザー(FA)契約(あるいはM&Aアドバイザリー契約:FA契約と内容は同じ。名称が各社で違っています。)を締結してから、業務(M&Aを成功させるための支援)が開始されます。

 

FA契約の中に、次のような条文があります。多少表現は違っていますが、どの会社のFA契約にもほぼ100%入っています。

 

”第●●条

 

乙(M&Aアドバイザー)が甲(売り手様或いは買い手様)に
対して本件業務に関して提供する情報に関し、
乙はその正確性又は網羅性に関して何ら責任を負わない。

 

ただし、乙において当該情報の誤謬に関し故意又は重過失がある場合にはこの限りではない。”

 

というものです。この条文を特に買い手様からの視点から見てみましょう。

 

買い手側は、買うか買わないかの判断の材料の多く部分を、M&Aアドバイザーから提供される売り手側の資料に依拠しています。

 

なのに、M&Aアドバイザーが渡す売り手側の情報の正確性或いは網羅性を保証しないとは!!

 

とお考えになるかもしれません。勿論、そのお気持ちは理解できます。しかし、先にも触れましたが、多くのM&Aアドバイザー会社がこのように(保証しない、できないと)規定しています。

 

何故でしょうか?

 

M&Aアドバイザーからしても、売り手企業は第三者(全くの他人)であり、その売り手企業の情報に触れて間もないのです。M&Aアドバイザーが全くの他人ではなく、”M&Aアドバイザーの会社自社”を売却するのであれば、情報の正確性・網羅性の保証は可能かもしれません。

 

しかし、ついさっき知り合った人のすべて(の情報)を保証することは、やりたたくでも、どうしてもお受けすることはできません。

 

では、この売り手側の提出する情報の正確性を買い手側に保証するのは、誰でしょうか?

 

答えは、そう、”売り手様自身”です。勿論、口約束ではありません。売り手側と買い手側が調印する最終譲渡契約書に明記されます。

 

例をあげます。

 

第●●条

 

甲(売り側)が乙(買い手側)に対して開示した
本件対象事業(或いは本件対象事業)に関する全ての情報は、
重要な部分においていずれも真実かつ正確であることを保証する。

 

いかがでしょうか?M&Aの検討段階で、やり取りされる情報の正確性は、M&Aアドバイザーではなく、当事者(売り手)が買い手に対して行うものなのです。

 

本日の教訓としては、

 

1.M&Aアドバイザーに情報の正確性・網羅性を保証を求めるのであれば、M&Aアドバイザーと契約することはできない。(*M&Aアドバイザーは保証はしませんが、アドバイスは当然いたします。)

 

2.情報を正確性を保証できない売り手との契約(M&Aによる取得)は絶対にしてはいけない。

 

です。

 

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この記事の著者

  • 松原 良太

    ・青山学院大学経済学部 卒業
    ・オーストラリアボンド大学 大学院 経営学修士課程(MBA)修了。
    ・財団法人日本M&Aアドバイザー協会 代表理事
    ・株式会社ビザイン 代表取締役パートナー
    ・AMD capital management 株式会社 代表取締役
    ・株式会社ビザイン・ファミリー・アドバイザーズ 取締役
    ・近著(共著):この1冊でわかる-M-A実務のプロセスとポイント

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