M&Aの契約書における前提条件と調印後の宿題
前回は、M&Aの契約書(以下 契約書)の中の最後の砦[表明保証]についてお話しました。
https://www.extend-ma.co.jp/ma20210212/
今回も、契約書シリーズとして、”前提条件”という項目(条項)についてお話したいと思います。と、その前に。M&Aでは、契約書(最終譲渡契約書)に売主様と買主様が調印をする日と、決済をする日(譲渡代金の受け渡し)は別の日(通常は、契約書調印から1ヶ月から2ヶ月後)に行われます。
その理由は、何故だと思われますか?
答えは、
契約書に、「決済をするための宿題」が課(掲載)されるからです。
売主様、買主様双方に主題が出されますが、売主様の宿題の方が多いですし、重要度も高いので、本日は、売主様側に課される宿題に絞らせていただきます。
それでは、どんな宿題が売主様に課されるのでしょうか?
まずは当然ながら、株式と譲渡する、事業を譲渡するにあたり、定款上或いは会社法上履践が求められている手続きを踏むことです(取締役会、臨時株主総会など)。また、譲渡にあたり、辞任する役員がいれば、辞任届けの提出も必要になります。
その他の主な宿題は、
①売主様の個人的な目的で購入された資産
買手にとって不要な資産(例えば高級車、投資用不動産、不要な子会社株式など)を売主様が対象会社から買い取る手続
②買主様にとって、不要な業務委託契約
(コンサルティング契約、顧問契約など)の解除
③Change of Control条項
(主要株主や代表者が変更された場合、或いは、事業譲渡された場合に、契約の相手方が契約を 解除する権利等を規定している)がついている契約につき、相手方(買い手にとって必要な取引先など)の承認を得る手続き
④役員や幹部社員など買主様にとってのキーパーソンとの面談(継続勤務の意思確認)
⑤賃貸借契約がある場合の貸主(不動産オーナー)への通知或いは承認
⑥金融機関への事前相談(連帯保証の切り替えなど)
です。契約書に調印したのち、これだけのことを処理しますので、調印と決済を同時に行うことは通常はできない訳です。
上記の宿題は、契約書に調印する前には片付けることができない宿題とも言えます。契約書に調印していないということは、まだ買うが買わないか、売るか売らないか決定していないという状況です。そのあやふやな状況では、銀行、取引先、キーパーソンなどに話すことはできません。
※なお、上記宿題は、M&Aアドバイザーが一つ一つ、先導、アドバイスするので、ご安心ください。
これらの宿題をずべて片付けて、決済ができる状態になったら、晴れて決済ということになります。
決済日には、
A.契約書に列記されたお互いの義務、誓約が実行されているか
B.前日このメルマガでお話した表明保証に違反がないか
C.上記宿題が完了しているか
を売主様買主様がお互いに確認し、「OK」がでれば、決済となります。
本日のテーマである前提条件とは、このA.B.C.が掲載されている条項になります。つまり、当日、決済の席で、双方がこの契約書の前提条件のみを順番に確認していきます。
めでたく、「はい」全部揃っています(或いは場合によっては、一部欠けてますが、相手が問題ないと言った場合含む)となった場合、「それでは譲渡代金の振り込みを実行します。」という流れになります。
いかがでしたでしょうか。契約書の前提条件と契約書調印後の宿題についてのお話でした。
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