中小企業がM&Aを利用するメリットについてNo.1
【中小企業がM&Aを利用するメリットについて】売り手様の視点と買い手様の視点の両方から、2回に分けて解説してみようと思います。
M&Aというと、以前は「乗っ取り」といったイメージが強く、なかなか利用に踏み込めない会社が多くありましたが、最近はM&Aを戦略的に利用する会社が増えています。
M&Aは、売り手・買い手ともにメリットのあることなので、上手く利用すれば双方に利のある取引と言えます。
まずは、[売り手側からみたM&Aのメリット]から見て参ります。
後継者不足を解決できる
経営者の中には、後継者問題で悩む方は少なくありません。日本では、少子化ということもあり単純に子供の数が減少していることや、事業を継ぎたくないという子供や継がせたくないという家族が増えていることなどが原因となっています。
経営者がこれまで大きくしてきた会社も、後継者が見つからないと廃業を考えざるを得ません。
しかしM&Aを利用すると、会社を譲渡することになりますが、会社自体は廃業する必要がありませんので、経営者が手放した後も会社は大きく成長できる可能性があります。
会社を存続し発展させられる
M&Aを利用すれば会社を存続することができるので、社員もこれまで同様に働くことができ、取引先にも損害が出たり迷惑をかけてしまったりすることがありません。
また、M&Aを将来に目を向けた優良企業に譲渡することで、これまで成せなかった成長や成果が得られる可能性があります。さらに、会社全体ではなく不採算部門のみを売却する方法をとれば、経営状態の安定が期待できます。
利益を得た上で引退できる
事業主は、会社を譲渡することにより今後の生活に必要な資金を確保することができます(創業者利益)。これまで会社を維持・成長させてきた経営者が、報酬を得ることができるのがM&Aの利点と言えます。
廃業にコストをかけずに済む
会社を廃業すること自体にも次のようなコストがかかります。
・設備の処分費用、在庫処分費用
・賃貸店舗の場合は、原状回復費用
・解雇社員への補償など
また、廃業するには書類上の手続きや税務関係の処理を依頼する費用なども必要になります。
経営者としては、これからの生活費を確保しておかなくてはならないため、なるべく余計な費用を払わずに済ませたいものです。
M&Aを利用すれば、会社をたたむことに要する費用などの余計な出費を抑えることができます。ここまで、売り手側からみたM&Aのメリットについて解説いたしました。次回(私の担当は1ヶ月後)は、買い手側からみたM&Aのメリットについて解説したいと思います。