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ご存知ですか?M&A時に発生する取締役委任契約について

本日は、取締役委任契約について、特に、M&A時に発生する取締役委任契約についてお話させていただきます。なお、取締役委任契約の法的なことを議論しているのでないこと予めご理解ください。

 

まずは、中小企業の中で、取締役との取締役委任契約書をパーフェクトに揃えている会社は恐らく少ないと思います。

 

その最大の要因は、通常の中小企業は、100%(或いはそれに準ずる)オーナー企業であり、親族取締役・非親族が取締役のどちらであっても、(誤解を恐れずに言うと)オーナー兼代表取締役の部下的な立場であり、オーナー兼代表取締役の業務執行を監視するという本来の役割・機能は果たしていない、相互に認識していないからであろうと思います。

 

しかし、M&A(株式譲渡)が起こると、通常、オーナー兼代表取締役は、その両方の地位を失います。つまり、新株主は親会社として、新しいオーナーになり、新代表取締役は通常親会社から任命されてきます。

 

そして、対象会社の取締役だった人材が、M&A後も取締役として残る場合、或いはM&Aで新たな取締役が選任される場合は、多くのケースで、取締役委任契約へのサインを求められることになります。

 

取締役委任契約の主な内容は以下の通りです。

 

  • 目的
  • 任期
  • 地位
  • 遵守事項
  • 報酬など
  • 競業禁止
  • 秘密保持
  • 反社の排除
  • 協議
  • 管轄

 

主な点は、

 

  • 一般正社員従業員とは違い、取締役には任期があります。
  • 株主総会、取締役会で否決されれば、取締役としての地位は失います(失った場合は、損害賠償責任もなし)。
  • やってはいけないこと(遵守すべき事項)が規定されます。
  • (一定期間)競業避止義務が課せられます。

 

です。これらは、部下的な取締役であった既存の役員にとっては、大袈裟な内容に映るかもしれませんが、取締役としては当たり前のものばかりです。

 

しかし、小職が携わったM&Aの案件では、この取締役委任契約を求められ、初めて取締役というものの役割と立場を理解され、役職のある一般従業員へ自ら降格されるという例も散見されるのも事実です。

 

上記は、基本的な内容であって、それ以外の内容(もっと厳しい規定など)が盛り込まれることもあるでしょう。

 

取締役委任契約の内容の吟味・交渉は、勿論必要ですし、やっていただいてOKなのですが、本日一番お伝えしかったことは、

 

取締役委任契約の存在であり、M&A後の取締役は親会社からその調印を求められることが当たり前である(少なくともイレギュラーなことでない)。

 

ということです。ご参考にされてください。

 

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この記事の著者

  • 松原 良太

    ・青山学院大学経済学部 卒業
    ・オーストラリアボンド大学 大学院 経営学修士課程(MBA)修了。
    ・財団法人日本M&Aアドバイザー協会 代表理事
    ・株式会社ビザイン 代表取締役パートナー
    ・AMD capital management 株式会社 代表取締役
    ・株式会社ビザイン・ファミリー・アドバイザーズ 取締役
    ・近著(共著):この1冊でわかる M&A実務のプロセスとポイント

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