コラム

  1. ホーム
  2. > コラム
  3. > M&A(事業承継)
  4. > M&A売主様からのよくある質問シリーズ

M&A売主様からのよくある質問シリーズ

M&A売主からのよくある質問です。M&A売主様からいただく、基本的な質問をお届けいたします。

目次

Q1.第三者事業承継と事業承継の違いは何でしょうか?

通常、事業承継というと、ご子息などに企業を承継することを指し、第三者事業承継とは、文字通り、第三者(通常は法人であることが多い)に事業或いは企業を譲渡(売却)することを指します。

 

また、事業承継と第三者事業承継は互いに排他的な関係にあるわけでもなく、いくつかある事業や企業の一部は第三者事業承継で外部に売却(第三者事業承継)し、残ったものをご子息などに承継する(事業承継)ということも可能です。なお、第三者事業承継のことをM&Aと表現する場合もあります。

Q2.事業・企業を第三者事業承継にする場合の手法はどのようなものがあるのでしょうか?

例えば、「M&A 手法」「M&A 種類」、或いは「M&A スキーム」などで検索をすると多くの手法が出てきます。ただ、通常皆様が第三者事業承継で譲渡(売却)する場合は、ほぼ以下の2つの手法になると考えてよいと思います。

 

  • 「株式譲渡」(会社全体の譲渡)これは、不動産になぞられるとオーナーチェンジと同じで、会社のオーナー権(所有権)を譲渡する手法で、オーナー兼代表取締役がご引退、ご勇退する場合などのEXIT戦略として活用されることが多いです。
  • 「事業譲渡」(事業を切り出して譲渡)株式譲渡のように会社全体を譲渡(売却)するのではなく、会社がいくつか運営している事業のみを譲渡する手法です。事業ポートフォリオの見直し、再生戦略として活用されることが多いです。

Q3.第三者事業承継の場合、赤字でも売却できるのでしょうか?

勿論、黒字であることが望ましですが、大切なことは、買い手様にとって、魅力的なものがあるかどうかです。ビジネスモデルなのか、取引先なのか、従業員なのか、技術なのか、ブランドなのか。業績だけでなく、買い手様の視点から、魅力的なものがあれば、売却の可能性は十分にあります。

Q4.第三者事業承継の場合、取引先や従業員の処遇が気になります。

取引先の保護と従業員の保護は、売り手様と買い手様が締結する譲渡契約書の中にその保護が記載されるのが一般的です。また、従業員だけでなく、売却後も、売り手様、買い手様が相互に合意すれば、オーナー兼代表者様もタイトルと役割は様々ですが、会社に残っていただくことも可能です。(通常、譲渡後一定期間、何らか関与する場合が多いです。)

Q5.現在、金融機関からの借入があり、オーナー兼代表者の私が連帯保証をしております。第三者事業承継の場合、連帯保証はどうなるのでしょうか?

こちらも、取引先と従業員の保護同様、売り手様と買い手様が締結する譲渡契約書の中に譲渡後一定期間内に、オーナー兼代表者様の連帯保証を解除しなればならないという条項(買い手の義務)が記載されます。

Q6.第三者事業承継する場合の譲渡(売却)価格はどのように決まるのでしょうか?

所謂、企業価値算定においては、DCF法、時価純資産法、類似上場会社比較法、EV/EBITDA倍率法など公知となっている方法がいくつかあります。

 

しかし、実際の譲渡(売却)価格はそれらが一定程度参考にされるものの、相対による交渉で決定いたします。

 

売り手様としては、数年先の分までプレミアが欲しい、買い手様としては、あくまで投資行為なので、回収できる価格でという間で交渉が行われることになります。

Q7.第三者事業承継を決断し、スタートさせた場合、譲渡(売却)完了までどの程度の時間がかかるものでしょうか?

これは、買い手様というお相手があってのことなので、軽々に申し上げることはなかなか難しいですが、売り手様と買い手様の条件に大きな乖離がなく、且つ、事業シナジー、人となりにも問題がなく、相思相愛になってからでも、3ヶ月〜6ヶ月がかかります。従って、例えば業績不振による第三者事業承継の場合、少なくとも半年程度はキャッシュアウトしないことが必要になります。

Q8.そもそも従業員がオーナー兼代表者1名なのですが、それでも譲渡(売却)することは可能なのでしょうか?

買い手様の視点から、何に、いくら支払うかという合理性・納得性を得ることが難しいため、絶対に無理という断言はできませんが、お一人の事業・会社の譲渡(売却)は、極めて難しいと思われます。

Q9.M&Aアドバイザーに譲渡(売却)を依頼すると思うのですが、M&Aアドバイザーを選定する際の注意事項などありますか?

まずは、お客様(売り手様)の業界で第三者事業承継(M&A)の支援実績があることと担当アドバイザーが信用できることが大切なのですが、それ以外にも、以下の事項は事前に必ず確認してください。

  • M&Aアドバイザーの報酬額(多くの会社では最低報酬が決まってますので、それも含め)
  • 報酬を支払うタイミング(着手金、中間金、成功報酬など)
  • 報酬の算定方法

Q10.第三者事業承継をしようとする場合、どのような書類などを準備すればいいでしょうか?

概ね以下のものを最初に用意する必要があります。(用意できたものからで結構です。また原本である必要はありません。)

 

  1. 定款
  2. 履歴事項全部証明書
  3. 株主名簿(誰が何株もっているか、各株主との関係が分かればOKです。)
  4. 決算書まるごと一式 3期~5期分
  5. 直近月までの月次残高試算表
  6. 借入・未払い(支払期限が過ぎている未払いがあれば)残高一覧
  7. リース支払い予支定表
  8. 規定集(就業、給与・報酬、賞与、退職金など)
  9. 賃貸借契約書
  10. 重要な取引先との契約書
  11. 会社案内、パンフレット、会社各所写真
  12. 給与台帳或いは給与明細(半年間分~1年間分)
  13. 可能であば商流が分かる図(簡単で結構です)
  14. 組織図(キーパーソン)・従業員名簿(性別・資格・役割・年齢・入社歴・社保有無など)
  15. 代表者略歴(箇条書き程度で十分)・会社の歴史(沿革)
  16. 不動産あれば、不動産評価証明(或いは固定資産税納付書)
  17. 不動産あれば、不動産登記簿謄本
  18. 御社の強み、特徴、弱み・要改善点のペーパー(書式自由)
  19. その他、同業者などに分かる機器設備一覧と写真などの一覧
  20. 直近期上位売上5社(社名、品目、額)同期 仕入れ上位5社(社名、品目、額)

 

その他、ネガティブな情報を担当のM&Aアドバイザーに事前に伝えすることも重要です。

Q11.普段は、月次試算表を作成していないのですが、その場合どうすればいいでしょうか?

月次試算表の用意がないと譲渡(売却)できないということがないですが、売り手様にとって有利に働かないことが間違いなので、決算のみをお願いしている税理士の先生にプラス料金を支払ってでもM&A交渉期間中は、作成するようにしましょう!

Q12.過半数以上を保有する大株主は私(オーナー兼代表取締役社長)ですが、諸事情があり、事前に全ての株主の承諾を得ることができません。その場合でも譲渡(売却)活動を開始することは可能でしょうか?

お客様と他の株主様との関係性(間柄と係争の有無)などをお聞きする必要はありますが、少なくとも係争関係にない場合は、最終的には、他の株主様からの同意を得ることを条件に、事前に譲渡(売却)活動することが可能な場合もございます。詳細はご相談ください。

Q13.1回の譲渡(売却)で全て(100%)譲渡しなければならないのでしょうか?

いいえ。こちらも売り手様と買い手様の交渉事項ですので、両者が合意すれば、段階的な譲渡は可能です。

 

それでも通常は、初回の譲渡で50%超の株式を譲渡することが多いと思います。

 

例えば、最近の事例では、初回で80%の株式を譲渡して、1年後に10%、2年後に最後の10%を譲渡するという事例がありました。

Q14.売り手と買い手が締結する譲渡契約には、経済的な譲渡条件(譲渡価格)の他、どんな交渉後の決定事項が記載されるのですか?

はい。譲渡価格はもっとも重要な取り決めの1つですが、その他にも以下のようなことについて交渉が行われ、決定事項が契約書に記載されることが多いです。

 

  • スキーム(M&Aの手法、株式譲渡か事業譲渡かなど)
  • 譲渡代金の支払のタイミング
  • 売り手側事業・会社のキーパーソンのM&A後の継続勤務の意思の確認
  • 従業員・取引先の処遇(原則は関係を継続しなければならないと記載)
  • 取引先(特に買い手様にとって重要な)とのM&A後の継続取引の確認
  • M&Aの告知・発表のタイミング・方法
  • M&A後の旧オーナー兼代表者の処遇(顧問就任で引き継ぎ業務など)
  • 借入、リース、賃貸借契約などの連帯保証解除の件
  • 明らかに事業に関係のない資産の取り扱い(売り手の買取など)
  • 賃料の見直し
  • 役員借入、役員貸付の処理
  • 事業譲渡の場合の引き継ぎ資産、負債
  • 顧問税理士などの顧問契約の継続問題
  • 許認可・届け出関係の処理・対応

Q15.第三者事業承継(M&A)による譲渡(売却)をM&Aアドバイザーに依頼し、スタートさせた場合途中でストップすることはできるのでしょうか?

原則は、買い手様への譲渡が完了していなければ、可能です。ただし、どの段階で、どんな理由で止めるかによって、場合によって、ペナルティが課される場合がございます。

 

M&Aアドバイザーとの契約(業務委託契約)、買い手様との基本合意、最終譲渡契約など契約書には、解除・解約とペナルティことが記載されているはずですので、調印前に、しっかりと確認しましょう!

Q16.買い手側との係争やトラブルを避ける有効な手立てはございますか?

  • 少なくともお客様(オーナー兼代表取締役)が知りうる限りのネガティブな情報を事前に伝えること
  • 重要な事項については、ハードコピーや議事録で確認をとること

 

だと思います。第三者事業承継(M&A)でよくあるトラブルの一番の原因は、「言った」「言わない」「聞いた」「聞いてない」です。これらを回避するには上記は有効は手段だと思います。

Q17.第三者事業承継をすべきか否か決断できてないのですが、その段階で相談することは可能でしょうか?

勿論です。是非、そのような段階からご相談ください。といいますか、殆どのお客様がその段階から相談されます。状況によっては、第三者事業承継よりベターが取りうる戦略があるかもしれまません。

この記事の著者

  • 松原 良太

    ・青山学院大学経済学部 卒業
    ・オーストラリアボンド大学 大学院 経営学修士課程(MBA)修了。
    ・財団法人日本M&Aアドバイザー協会 代表理事
    ・株式会社ビザイン 代表取締役パートナー
    ・AMD capital management 株式会社 代表取締役
    ・株式会社ビザイン・ファミリー・アドバイザーズ 取締役
    ・近著(共著):この1冊でわかる M&A実務のプロセスとポイント

新商品のご案内

実際にエクステンドで手がけた
再生事例を紹介!

 

・資金繰り改善・資金調達
・業務改善・粉飾決算
・M&Aなど

→ 詳細・ご購入はこちら
金融機関紹介実績No1
支援機関
contents
  • 事業再生
  • M&A
  • よくある質問
  • 実際の事例集
  • オンラインショップ
  • 会社概要

一人で悩む経営者へ
後悔しない決断を一緒に見つけましょう