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論理株価が実態株価評価に変わるとき

売却のご相談をいただく中で、稀に以下のようなことがあります。

 

起業或いはシードステージ(会社の立ち上がり期)において、多くの応援者から出資をいただいているケースです。友人・取引先関連だけではなく、エンジェル投資家、VC(ベンチャーキャピタル)などからの出資も含みます。

 

その資金を出資した投資家は、起業家を応援したいという純粋な想いの他、成長後のリターンを少なからず期待しての出資だと思います。

 

出資額(1株あたりの株価)も、「えいやーっ」で決められているものもありますが、その多くは、机上の資本政策で将来得られるであろう投資家のリターンから逆算した株価、所謂、資本政策上の論理株価で決定されています。

 

しかも、それらの論理株価は、ほぼ、対象企業の出資時点の実態利益の水準からは説明できない割高な株価になっています。

 

これは、異例なことではありません。対象企業が起業家及び投資家の期待に添う成長をしている限りにおいては。。。です。

 

問題は、起業家、投資家の期待に全く沿わない状況、もっというと、業績不振で明日をも知れない状況になった時です。

 

この状況では、業績では説明できない論理株価で新たに出資を得ることはできないでしょう。

 

それは、同時に、既に論理株価で出資している投資家の株式価値も毀損することを意味します。

 

論理株価が実態株価でしか評価できなくなる瞬間です。

 

多くの応援団投資家から1億円の出資を得た企業が業績不振による売却を検討するとき、売り主起業家から、毀損の出資者からの出資額以上で売却したい(つまり応援団毀損株主を裏切りたくない、傷つけたくない)というご相談を受けることがあります。

 

しかし、これは、相当至難の業ですし、モラルハザードを引き起こし、引いては、資本主義を歪めることになりかねません。

 

当然、それを許容する新しい出資者(新しい買い手)はいないと考えるべきです。

 

起業家の「応援団を裏切りたくない」というお気持ちは、理解できます。しかし、投資家は、投資額の範囲で責任を追わなければなりません。

 

上場企業の株式投資をやっていて、株価が取得したときの価格から大きく下落したときに、証券会社に責任をとれ、新たな上場株式の買い手に下落前の高値で買ってくれと言えないのと本質は同じなのです。

 

では、どうすればいいか。。。それは、生き残るために、既存株主を説得する以外に方法はありません。事前に対策できるとすれば、

 

出資してもらうときに、業績不振の場合は、論理株価が実態株価になることをよくご理解いただいておくしかありません。

 

ご参考にされてください。

この記事の著者

  • 松原 良太

    ・青山学院大学経済学部 卒業
    ・オーストラリアボンド大学 大学院 経営学修士課程(MBA)修了。
    ・財団法人日本M&Aアドバイザー協会 代表理事
    ・株式会社ビザイン 代表取締役パートナー
    ・AMD capital management 株式会社 代表取締役
    ・株式会社ビザイン・ファミリー・アドバイザーズ 取締役
    ・近著(共著):この1冊でわかる M&A実務のプロセスとポイント

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