建設業のレイヤー型イノベーション・建設業の再構築
コロナ禍における外出自粛やテレワークの推進によって、建設業の営業活動は大きく制約を受けました。特に、契約前の面談の機会が減少したことから新規受注数は減少し、すでに受注している新築案件や改装リニューアル案件なども、延期や中止となるケースが多くありました。コロナ禍当初は三密を回避するための工夫が必要となり、作業効率が低下し、経費も増加したことなどから、厳しい状況に置かれた建設業の方も多かったでしょう。
では今後、建設業が事業を回復させるためにはどのような対応が必要になるのでしょうか。
アフターコロナ・ウィズコロナ時代の建設業の事業再構築
中小企業庁では、アフターコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、思い切った事業の再構築を図る企業を支援する、事業再構築補助金の制度を開始しています。中小企業庁の事業再構築補助金に関するウェブサイトには、日本標準産業分類における「事業計画の概要」が示されています。この中からいくつかの産業を選択し、加筆しながら建設業を営む中小企業が事業を再構築する際に参考にしていただきたい点をご紹介していきます。
動画で解説
※切り抜き動画をyoutubeで公開しています。まずはこちらをご覧下さい。
建築業が事業を再構築する際の6つの方向性
建設業が事業再構築を検討する際に、考えられる方向性を次の6つに分類し、それぞれの事業再構築パターンをご説明していきます。
- 強み活用型
- 製造型
- 現場型
- 教育型
- 地域貢献型
- DX型
強み活用型
自社の強みを活かして、新しい事業を創造するパターンです。具体的には次のような事例があります。
- 特許技術を活かした墓石販売事業
- 高度な溶接技術を活かした大型製缶製造業
- 高度な木工塗装技術を活かした金属焼付塗装事業
- 施工技術を活かした家具事業
- パイプ加工配管施工技術を活かした設備配管ユニット製造業 など
建設業から製造業に移行したパターンもあり、高度な塗装技術を活かしてこれまでの家ではないところへの塗装に活かした事業や、作業時に使用するものを自社製造するようにした事業などがあります。
自社の強みを活かし、現在の事業に関連性が強いところから新たな事業に展開しているところが多い傾向にあるようです。技術力を持つ建設業の場合は、強みを活かした事業展開のイメージは湧きやすいのではないでしょうか。
製造型
先にご紹介した強みを活用した事業のように、建設業ではないけれど、建設業を通して関わりがあった事業に転換したパターンが製造型です。
- 国産木材製造事業
- 建築用コンテナ製造事業
- 食品製造事業
- ドライフラワー製造事業など
建設業に関係するものから事業者が関心の深い分野などに転換する例があります。
その他の型
その他に、現場型・教育型・地域貢献型・DX型での建設業の再構築事例もあります。ダイトリ会員にご入会すれば、すべてのコンテンツをご視聴いただけます。
中小企業が事業再構築を検討する際のポイント
中小企業の中には、事業再構築の必要性を感じていてもどのように検討を進めてよいのか分からないケースもあるでしょう。建設業の経営者からいただいた質問を例に、事業再構築を検討する際のポイントについて解説していきます。
自社の強みが分からない
中小企業では、他社に負けている、自社より他社の方が優れているのではと、自社に自信がないケースが少なくありません。自社の強みが分からない場合は、社員の方も巻き込み、強みも弱みも書き出し、出てきた強みを掘り下げていくときっと自社の強みが見えてくるようになるでしょう。
事業再構築の情報の集め方が分からない
インターネットを利用すれば、簡単に情報は集められます。しかしながら、ウェブ上のデータがすべて正しいとは限らないため、情報はご自身で取捨選択する必要があります。政府機関の情報や建設業関連団体、建設業者のサイトなどは、信頼性が高いでしょう。
また、さらに踏み込んだ情報が欲しい場合や相談をしたい場合は、エクステンドのような経営コンサルタントや商工会議所、よろず支援拠点に相談してみることをおすすめします。
社員が新しいことに積極的に動かない
建設業の場合、職人気質の方も多く、新しいことにチャレンジすることに社員が反発するケースがあります。経営者が本当にこの事業をやりたいと考えるのであれば、まずは社長自らが1人で始めてみましょう。気概に満ちた社長の様子に感化される社員もいるはずです。大きな石は一度に動かすことはできません。一気に動かすのではなく、少しずつ動かしていくように考えましょう。
まとめ
建設業の事業再構築にあたって参考になるような新事業のパターンをご紹介しました。
エクステンドは、中小企業の経営コンサルティングを行っています。建設業の経営者様にもお役立ていただけるようなオンライン経営講座「ダイトリ」の提供も行っています。
今回ご紹介した建設業の事業再構築に関連するテーマを含め、すぐに使える経営情報や知識講座を豊富にそろえています。ダイトリの詳細については下記バナーよりご確認ください。