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本当に銀行員は決算書をみているのでしょうか?

私は普段コンサルタントとして現場で業務をこなし、時には電話相談・面談を通じ経営者の方からの相談を受け解決策を一緒に考えております。

 

本日は『本当に金融機関の担当者の方は決算書をみているのでしょうか?』をテーマにお話しさせていただきます。

 

先日ある経営者の方から次のような質問がありました。「もうすぐ決算だけど決算書はどうしたらいいの?」

 

私は「正直に決算処理をしていただけば問題ありません」と話すと、経営者の方は「じゃあ聞くけど、金融機関は決算書の何処をみているの?」

 

私は「今は決算書を金融機関に提出すると、その決算書をもとにデーター入力を行い、その後きちんと決算書を分析していると思います。社長様にも決算書の内容について質問をしに来ますよね。だから一通り見ていると思います。」

 

経営者の方は「本当に?」私は「はい」と答えました。但しその後で私は次の事を伝えました。「決算書を見ると、決算内容を読む(理解する)は私は違うと思っています。」

 

なぜなら見る事は誰でもできるし、必ず見るからです。でもよく考えてください。なぜ粉飾決算を見抜けないのか?見抜いていても伝えないのか?どちらかわわかりませんが、私は今まで色々な経験をしてきました。『粉飾』している決算書も見たことがあります。(私どもは全て開示しますが・・・)でもその時はなぜ金融機関は見抜けないのか?と考えた事もあります。

 

それは、不明な部分は必ず質問をしてくる⇒書面で説明をつければ納得する⇒内容確認がヒアリングだけになっているからではないでしょうか?

 

話を戻します。経営者の方に私は「粉飾してもいつかは見つかりますよ!」

 

経営者の方は「決算書を見ていない(理解していない)なら見つからないのでは・・・」

 

私は「でもいつかはばれると思いますよ。どこかでつじつまが合わなくなる。最後まで隠せるはずがない」そして粉飾は「犯罪ですよ!」とお話ししました。経営者の方は、ただうなずかれました・・・

 

そして「でも粉飾は別にして実際に金融機関の担当者の方はどこをポイントにみているの?」と質問がありましたので下記の様に説明をさせていただきました。

銀行員が決算書を見るポイント

銀行で融資の審査をする時に最終決裁権限のある人は、支店長・本部の審査役・本部の役員等、支店長以外は現場を直接見ているわけではありません。(中には見ている方もあるとは思いますが・・・)

ではどの様に審査が行われているか

全て決算書で判断していると言っても過言ではないと思います。

では、銀行員はどこを見ている?

全て見ています!

必ずチェックしている項目

中でも流動資産については、必ずチェックしている項目です。

 

なぜなら流動資産の資産性は、必ず現金化できるという事からです。この流動資産の中でも次の6項目については特にチェックしている勘定科目ですので、きちんと内容を把握しいつでも説明できるようにしておいて下さい。

チェックしている勘定科目

現金預金

現金・預金の中でも現金については注意してみています。

 

  

預金は残高証明等が決算書の資料として添付されておりますので粉食等の可能性は極めて低いのですが、現金は確認する事ができません。実際にない金額、他の勘定科目が振替えられていないかチェックをしておりますので、実際に現金が無い場合は税理士の先生に確認し、他の勘定科目が混在していないか確認して下さい。

仮払金

仮に支払ったお金のことで、本来は勘定科目が未定の場合や、金額が概算払いの場合に使用される勘定科目である。

 

本来であるならば、短期間で回収されるのが本来の姿であります。よって、残高が計上されている場合は、具体的な支払先、理由、回収目処を説明できるようにしておいて下さい。

貸付金

貸付先は、代表者・従業員・関連会社・知人等各々あると思います。

 

貸付金については、誰に・何の為に・いくら・貸付し、どの様に返済してもらう事になっているのか把握しておく必要があります。

 

特に代表者への貸付金については、保証協会等も注意をしてみております。決算期以外で、融資を申込する時に一時的に返済し試算表を提出すればいいと思われている方がみえるかもわかりませんが、試算表は一時的な修正が可能である事から、決算書でしかみないというケースもありますので、注意して下さい。

預り金

従業員からの源泉、社会保険料等一時的な預かりとして使用する勘定科目です。

 

一時的な預かりであり、翌月には支払されるべきであり1ヶ月程度の金額が計上されているのが本来の姿です。社会保険料等の未納があるにも関わらず、未納がないと言っても実際の金額とかけ離れた金額が計上されておりますので、すぐにばれます。嘘をついて印象を悪くするのではなく、正直に話す勇気も必要です。

売掛金

商取引がある以上は必ずと言っていいほど発生する勘定科目です。

 

毎期決算書に同じ取引先で同額で計上されている先はないか等回収可能な債権が混在していないか銀行はチェックしております。また、その他として多額の金額が計上されている場合は、個別の明細を徴求される場合もありますので、回収不能分は事前に把握しておいて下さい。

棚卸資産

在庫の事で製造業・卸売業・小売業等ほとんどの業種が発生する勘定科目です。

 

これは、過剰・過少在庫、不良在庫があるかどうかを見ています。在庫は売上前の現金化されていない状態のもので、資金繰りに与える影響は非常に強いと思われます。適正な在庫に心掛けて下さい。

 

以上6項目が銀行員が決算書を徴求した際に、貸借対照表の中で必ずチェックする流動資産の項目です。今後、事業をすすめていく中でポイントを抑えておいて下さい。銀行から融資を受ける為には、銀行が見ているポイントを押さえ、日々改善していく事が必要です。

 

上記は流動資産資産についてお話させていただきましたが、他の科目では投資等、短期借入金、長期借入金、未払金、自己資本等の見ているポイントになります。

最後に

あまり聞かないのですが、金融機関で決算書以外に総勘定元帳の提出を求めてくるケースがあります。総勘定元帳迄操作していると何とも言えませんが、総勘定元帳を操作していない場合、そこには真実がありますので、ばれる可能性があります。

 

『粉飾は悪です!』そこから『脱出しましょう!』何事も早い段階で行動する。(ばれてからではなくばれるまえに開示するです。)

 

私は常に今できる事を一緒に考え、一緒に行動していけたらと思っています。一度弊社に相談して頂き、改善策を一緒に考えませんか? 

 

エクステンドでは、経営者からの無料相談を受け付けています。新たな資金調達を成功させたいや、返済・資金繰りが厳しいなどの財務でお悩みでしたらお気軽にご相談ください。まずは下記バナーより「無料相談」をご利用ください。財務コンサルタントが親身になって対応致します。

この記事の著者

  • 山中 肇

    経歴:愛知県第二地方銀行 管理職
    主な実績:
    ・金融機関調整
    CF以上の返済を履行していた先に対し、金融機関の見直しを行い、CF以内の返済額への減額対応し実現。
    ・資金調達
    適正な金額・期間・調達方法のアドバイスを行い資金調達を実施。
    ・リスケ対応
    改善計画書を作成し金融機関に一緒に訪問しリスケ交渉の支援を実施し毎月の返済額の見直しを行い、予実管理まで実施。
    ・サービサー対応
    サービサーとの交渉に同席し、円滑な交渉をサポート。
    ・金融機関対応以外に租税関係の交渉同席、取引先への支払延期交渉同席等、些細な事から大きな事まで対応しております。

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