重要なのは損益計算書?それとも貸借対照表?
損益への着目が強まっている
損益計算書と貸借対照表は、それぞれ決算書において作成される企業の状況を表すものですが、自身にとっても銀行にとっても超重要なものであることは言うまでもありません。
貸借対照表は、基準時点での会社の資産を示すとともにその資産がどのような形で調達されているかを示し、結果として純資産≒企業価値を表します。
言うまでもないことですが、損益計算書は、一定期間内における、企業の売上・利益を表します。
基本、銀行は貸借対照表の方を重視してきました。貸借対照表で確認できる純資産・自己資本比率が十分にあるならば、その融資先企業に何らかの問題が発生したとしても、貸したお金は返ってくるだろうことが見込まれるから、です。
間違っていることではありません、が、この考え方は限界が来ているとされています。具体的には、コロナ禍によって負債が増える=純資産が減少した企業が多すぎてこの考え方を維持していると、銀行からみてお金を貸せる企業なんていなくなってしまうのです。
従って、近年登場した事業性評価(に基づく融資)では、企業の成長性や生産性の向上による売上・利益の改善に焦点があたるようになり、損益計算書の重要性は、確かに上がっています。
貸借対照表を軽視していいわけではない
純資産が減少した結果、例えば債務超過に陥った企業を考えれば何よりも直接的な純資産の回復方法は、損益での利益計上です。貸借対照表の改善には、損益の改善が要るそう思えば、損益が大事となることに異議などあろうはずがありません。
極端な言い方ですがどんなに純資産が少ない、マイナスの企業でも現在から未来に対して利益を出し続けることができるのならば「後は銀行が一定の支援をしてくれさえすれば、企業は倒産しない、従って銀行だって貸倒が発生しないので共存共栄できる」のです。もはや貸借対照表はどうでもいいようにも聞こえます。
しかし、これは長期的には企業を疲弊させてしまう原因になることは気をつけなくてはなりません。
損益(ここでは特に利益)の改善が必須であることはその通りですが、その利益をどのように配分していくのか、残すのか、使うのか。このバランスは損益計算書では表現し、確認することができません。
- 長期的な視点で頑張って出した利益はキャッシュフローとしても残る形なのか
- 残ったキャッシュフローを投資その他でどれだけ使っていくのか・いけるのか
- 結果として、未来はより強い基盤をもった企業になっていけるのか
この点に着目するため、将来の損益計画には将来の貸借計画がセットであるべきでしょう。あくまでも、脱却するべきなのは「過去の貸借対照表に依存した評価」だ、ということです。
未来の利益が最重要であることは当然ですが、その上で
- 利益がキャッシュフローにつながっているか
- キャッシュフローを何に使用するのか
- 結果、企業の体制・体質・基盤をどれだけ強くできるのか
そのプランニングのために未来の貸借対照表もまた、有効に活用するべきなのでしょう。
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