銀行の決算から考える今後の金融
7月ともなれば、3月決算を迎えた企業は申告を済ませ、銀行に決算を提出するとともにその評価も固まりつつある時期です。なかなかに楽ではない世情ではありますが、1社でも多くの企業が銀行から適切な評価の元、十分な金融支援体制を得ることができていれば幸いです。
さて、1年に一度決算をする、という意味では中小企業と銀行に差はありません。コロナ禍に国際紛争の影響を受け続ける中、銀行の決算はどのような内容になったのでしょうか?
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メガバンクと地方銀行の格差が広がっている
99ある地方銀行の2024年3月期決算では、全体の約7割は前年度比増益となり、全体合計でも前年度比で9%以上の増加となりました。
コロナ融資に支えられた融資も底堅く、堅調だったと言えるわけですが、一方でメガバンク3行はそれぞれ過去最高益を計上しています。大企業の増える設備投資やM&Aによる資金需要対応に加え、株高や円安による輸出取扱いも寄与したことで2025年3月期においてもさらなる増益が見込まれる状況となっています。
中小企業経営側からみると、何とも雲の上のような話ですが、しかし、地方銀行(及び信金、信組)は増加をはじめた融資先企業への貸倒や、マイナス金利解除による利ざやの縮小懸念、決済業務の銀行独占がなくなったこと等による手数料収入の減少が予想され、メガバンクに追従する形での収益の伸びが期待できません。
日銀による追加の利上げも既に予想されることから、現状ままでは収益が悪化していくことすらあり得るわけで、その対応によって地方銀行の経営が勝ち組・負け組に2極化していくとの指摘も出ています。大局的には、メガバンクと地方銀行の間で格差が広がっているといえます。
地域金融機関の対応と中小企業側対策
地域金融機関(地方銀行・信金・信組の総称)は、収益を確保するために利上げを行うことが予想されます。東京商工リサーチが4月に行ったアンケートによれば、既に3割を超える企業が金利の引き上げ要請を銀行より受けているとのこと、今後さらに増加していくことは間違いありません。
金利が歴史的にも最低だった時代が終わり、金利が「あり、そして(ペースはともかく)上昇する」世の中への変化が発生しています。
金利引き上げに対する銀行との交渉方法については別途お伝えできればと思いますが、経営という観点でいえば、金利のある世界においては「粗利に金利負担を考慮する」ことが必須になります。
仕入れという事業のコストに、資金調達コストもあらかじめ加えた上で粗利や収益を考え、資金調達コストを賄うことができないのならば計画・見積もり時点で単価や仕入れの見直しに加え、「◯◯以上の金利負担になるようならば取扱いをしない」選択肢も考慮することで収益の確保を図っていく、という考え方です。
頑張って売上をだして、資金は後から考えるという方法は、金利を含めたコストが上がっていき、かつ一方で売上が無尽蔵に増えるわけではない環境下では、リスクが高すぎるのです。金融を事前に押さえておくことが、中小企業の財務にも求められる、とご理解いただければ幸いです。
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