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借入金利の上昇は中小企業を潰すのか?

東京商工リサーチが4月に実施したアンケート調査によると、メインバンクから金利の引き上げ意向を伝えられた企業は30.8%既に引き上げにあっていると回答した企業は17.7%あったとのことです。

 

3月に実施されたマイナス金利政策解除は既に市中の金利を押し上げはじめており、市場金利の指標としてよく使用されるTIBOR(3ヶ月)を例にすると、2024年初頭は0.08%であったものが同5月末には約0.29%と、約0.2%の上昇を見せています。

 

今のところ、変動金利算出の基準として、最もよく使用される短期プライムレートは大半の銀行において据え置きとなっておりますが、日銀が年内に追加の利上げに踏み込む可能性があり、そうなった場合には短期プライムレートの上昇→住宅ローンや中小企業向け融資の金利上昇に繋がることが見込まれます。TIBORが基準レートの場合には、現状のままで0.2%程の上昇となるでしょう。

金利引き上げを受けやすい借入

この状況を踏まえ、銀行でも融資金利の引き上げを積極的に行う動きが見られるようになりました。特に、新規の融資は比較対象する同社の融資が少ないため、金利上昇の説明がしやすいこと、リスケ中の融資は、リスケというリスクを銀行が負っているためその負担を企業側に求めるという大義名分があることから、今後金利引き上げをされやすいことが予想されます。

 

また、身も蓋もない言い方ですが金利の引き上げは銀行の融資担当者にとって「できるものならば、もっとも手っ取り早い収益の増加方法」であるため、リスケ中等で銀行対して同じ土俵でものを話しにくい企業にとっては、金利負担の増加は心配なことです。

計画策定済の企業で利益目標の進捗がよい企業は避けやすい?

金利の上昇自体は、銀行にも都合はあり避けられない部分はありますが、コロナ等で借入金額が大きくなっている企業を中心に金利負担の増加は損益・資金繰りに大きな影響を及ぼします。

 

そのような企業経営者様からは「金利の引き上げを打診された場合、何とかこれまで通りとお願いすることはできるだろうか?」というご相談をいただくことになりますがゼロ回答は難しいことも多いながら、最小限度に抑えやすい方法はあります。

 

それは、経営改善計画等の計画を銀行に提出済、計画承認を受けていてかつ、損益の(特に利益項目の)実績が計画にひけをとらない状況の場合に「金利引き上げの影響で、達成可能なはずの利益目標が未達成になる」場合です。

 

要するに、こんなに頑張って利益達成しているのに、銀行への支払金利が増えたことで計画未達になってしまった、というのは銀行にとっても心苦しいものになりやすい、ということ。

 

計画策定はしていない場合でも、自社の収益改善努力が金利引き上げでどれほど失われてしまうのか、説明はできるようにしておくべきでしょう。少なくとも、過剰な金利引き上げを避け、最小限度に留めることができます、金利引き上げの可能性が気になる方は是非念頭において下さい。

 

ただし、金利の引き上げはより積極的な資金の動きを促すことから、理論的には企業の売上が上昇局面になることが前提です。金利の引き上げに負けない営業利益を確保できるように自社事業の見直しを絶えず続けることが何よりの対策になるでしょう。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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