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再生フェーズ企業は自身から銀行に対話を求めるべき

銀行員との定期的な面談は、銀行との信頼関係構築においてまず第一に必要なもので、再生フェーズにある企業にとっては尚更であることは本メルマガでもお伝えしてはおりますがなかなか実際にはそうなっていないのです。

 

2023年6月に発表された「金融機関の取組みの評価等に関する企業アンケート調査」から金融庁が作成した資料によれば、事業に関する対話についての金融機関の訪問頻度が月に1回未満である割合は、債務者区分別で正常先上位ですと39%程であるのに対して正常先下位で45%前後要注意先以下になると50%以上と開きがあります。

 

企業を守り、育てていくことで自らも発展していくのが金融機関の本道ではありますが、この数値のギャップは誤差というのは大きすぎ、結論として残念ながら銀行の融資担当者は「再生フェーズの企業への訪問を控え気味」なのです。

 

順調な経営をしている企業よりも、今危機に瀕している企業こそ訪問し、対話し、解決策を探ることが求められるにも関わらず、です。

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対話が必要な企業に銀行があまり行かない背景

未だ現場では、融資ができそうな企業、融資以外のサービス利用をお願いできる(手数料を支払ってくれる)企業面倒な相談をしてこなさそうな企業を選んで合計の訪問件数を稼ぎ、足元の収益をなんとかとりにいきたいのでしょう。

 

銀行員としてそれは、、、という気持ちはありますが、相談を受けても融資できる余地が少ない、そんな企業に手間暇を割きたくないというのも予算を目指して活動するサラリーマンとしては必然の結果として考えなければなりません。

銀行員をこちらから捕まえてでも対話を求める

事業再生コンサルという仕事をさせていただいている立場から正直に申し上げますと、再生フェーズにある企業は、上記の通り銀行から対話を求めてもらえる可能性が少ないとはいえ、責任を銀行にのみ求めるのは間違いだと感じています。

 

企業側も銀行に説明ができる状態ではないことが多いのです。それは単に、説明が困難なほど事業が不調というだけではなく改善活動が足りていない・何を改善すればよいのか定義できていないというポイントも含みます。

 

だからこそ、なのです。再生フェーズにある企業は、より自身から銀行に対話を求めるべきでしょう。その前提として、銀行に対話を求められるだけの背景や根拠を用意することが必要です。

 

再生フェーズにある企業が「本当に再生にたどり着く」可能性は半分どころか20%にも満たないのが現実です(根拠のない、私の肌感覚ではありますが)。

 

銀行はそれを知っているからこそ、優先順位が低いのです。

 

自社は違う、と信じている企業経営者は、「少数であれ再生できる企業があるとすれば、それはうち」であることを銀行員に説明し、理解を得ることで現時点では格付けは低くとも、銀行との対話が成立する→将来的に再生フェーズから脱していくことに繋がっていきます

 

銀行へのアピールは、自らのアクションが必要なのです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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