「実抜計画」がより多くの企業で必要になる
「以前作成した経営改善計画は、達成を求められてもできっこないのです」というご相談は、コロナ禍によって売上が減少したことで増えています。
銀行に提出する計画というのは、実のところどれだけ有効なものなのか、かなり疑わしいのが現実ですが今日、見直しの方向にあります。
2024年3月経済産業省・金融庁・財務省から公表された中小企業の事業再生支援を促すための政策パッケージによれば「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(実抜計画)」の策定が促されています。
実抜計画と認められる条件については今回省略しますが、要するに
- 数字合わせではない、真に有効な計画をつくるように
- これまでの実抜計画は、極端な言い方ではリスケ先を正常先として評価するためのものであったが、今後はそれに留まらず、新規融資をするための計画とする
ことが念頭に置かれています。金融円滑化法以降、一般的に用いられてきた経営改善計画に代わるものであると同時に、リスケの申し込みに限らず多くの企業に対して、その作成が求められることになりそうです。
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経営改善計画の限界と、新計画の概要は?
これまで使用されてきた経営改善計画は、
- 何年で債務超過を脱却するのか
- 借入を何年で返しうるのか
に対して明確な基準となるキャッシュフローや利益を定義してきた一方で、それだけのキャッシュフロー・利益を出すための売上確保の現実性や、外部要因、事業そのものに対する分析や知見について、たいして触れられることはありませんでした。
そのため、長年リスケ状態にある企業の多くがリスケを行うためだけの数字合わせを計画値としてきたことが問題になっています。より具体的には
- 計画の基準を満たす利益が先に定義され
- 計画策定時の利益率から逆算して必要な売上が定義され
- 経費(販売管理費)は利益確保の範囲内に収める
等、現実的かどうかよりも数字パズルにハメた計画値になってしまうことで、計画をつくったまでは良かったものの1年目から計画達成の目がないといった、意味も価値もないものになってしまっているのです。
振り返ってみれば、多くの企業が「当面のリスケを得るために」、
銀行は「内容はともかく計画書があれば、リスケ先を会計上は正常先として評価できるため」、
専門家は「企業の計画を作成するだけで売上がとれる、責任はあくまで企業」と、
それぞれ短絡的な動きをしたことで、リスケ先の対応を先送りしているうちにコロナ禍に見舞われてしまい問題がとうとう表面化してきた、ということになるのでしょうか。
どうあれ経営改善計画は、もう限界です。では、新たな実抜計画についてはどうなるのでしょうか?詳細については、残念ながら今日発表されているものはまだありません。
しかし、経営改善計画の限界を克服し、新たな融資の姿を模索していく、ということであるのならば事業性評価の導入と承継計画の取り込みは必須でしょうし、計画を出すだけではなく、その後のモニタリング・対話も形式だけではない、真にせまるものでなくてはなりません。
事業再生におけるルールが、大きく変わっていくのでしょう。私共のような専門家(コンサル)も、数字合わせのみでは淘汰されることを肝に命じて、取り組んでまいります。新たな情報が得られましたら、また「メルマガ」でお伝えできれば幸いです。
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