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なぜ不動産業は銀行融資を受けにくいのか

昔から、「不動産業を営んでいるが、土地建物の仕入資金の融資を受けることができない」というご相談は多いです。

 

将来的には人口減から不動産取引、住宅建設の数は減少していくことは確実とはいえ、今日ではゼロ金利政策解除も見据えてでしょうか、人気のある地域では不動産取引や建設は活発です。

 

コロナ禍が一段落して、売上を伸ばしていきたいのに不動産を仕入れるための資金を調達することができない、融資を得られれば、最終的に売上・利益になるのだから貸し手にとっても損はないはずなのに、、、

 

特に、土地の購入資金を融資で得ようとするのはハードルが高く、借りたい企業(経営者)と貸せない銀行でギャップが生まれています。

 

今回は、なぜ不動産業は融資を受けにくいのか?を詳しく解説していきます。

 

結論としては、土地の仕入資金は今後とも「借りにくい」状態が続く公算ですが、なぜなのかが周知されていない(銀行員の方も知らない方が多いため、説明されない)ため問題が全く解消されない、ということです。

融資における不動産事業

銀行融資における不動産業のポイントを説明します。

土地は付加価値が見えにくく投資扱い

この点が一番説明不足であるように思われます。

 

通常、事業資金は仕入れて、付加価値をつけて、販売するのですが、土地の価格は相場ものであり仕入価格<販売価格になるとは限りません。事業資金の融資は「収益が出ること」が前提です、借り手にそのつもりがなくとも、土地を高値でつかんでしまった可能性がない、と断言できるかと言われると審査としては承認するのが難しい。

 

要するに、土地=投資として扱われ、投資である以上は「余剰資金でやるものであって、融資を受けてやるものではない」と考えられるのです。

中小企業の事業規模に比して一取引が大きすぎる

年商10億円以下の企業であっても、不動産取引は取引単価が高いため、トラブルなどで赤字になった場合の企業損益・資金繰りに与える影響が大きいため、融資リスクが高いとされます。

銀行側の手間が大きい

上記二点を考慮し、尚融資を検討しようとすると融資先の販売用(在庫)不動産の回転状況を定期的にチェックしたり、融資に際しては都度不動産に担保を入れるなどの審査・事務負担が発生します。

 

その割には、1件毎の融資は長期ではなく短期で、金利も低めとなると、銀行から見た取引の有り難みが薄いのです。

事業と財務をリンクさせつつ、融資は徐々に拡大していく

以上が貸し手側の都合による状況ですが、借り手側からのアプローチは、私が取り組んでいるものは以下の通りです。

 

  • はじめは案件ごとの個別担保設定でもやむを得ないとして、実績を積み上げる
  • その間は、資金計画から仕入に予算を設定することで資金繰りを確保する(仕入し過ぎて現預金不足になることの防止)
  • 在庫不動産の回転状況や利益状況を定期的に銀行に報告(自社が不動産を死蔵化させないことをアピールする)
  • 最終的には当座貸越か手貸による短期継続型融資での対応を狙う

 

といったあたりです。

 

また、一般的には「既に支払済の不動産仕入資金を、融資の資金使途にはできない」ものですが、一部の銀行では建物の仕入資金については支払済であっても、後付で融資の資金使途にできる、つまり、融資対象にできますので、ご興味のある方は弊社にご相談下さい。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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