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赤字がお金を貸せない理由にならない銀行融資は来るか?

融資の基本として、資金使途は大別して運転・設備の2種であり運転資金は理論上赤字であれば必要な運転資金も減少すること、赤字であれば融資の返済原資が出ないことから、赤字=融資がでない、とされています。

 

この規定では、今は赤字だがこれから利益が出るところ、そのための仕入資金が要るという場合に非常に無力で、融資が企業のターンオーバー、反転攻勢には使えないというものなっています。実際、「黒字という実績がないため融資が出ない」と言われたことのある経営者様は多いものです。

 

ここまでのお話は、多くの方がご存知ではないでしょうか。

 

しかし、これ、融資の本質とは異なっているんです。融資には返済原資が十分に要ることはもちろんなのですが、運転資金の返済原資は正確には「これから事業を行って生まれる収益(キャッシュフロー)」であって、未来の出来事なんです。

 

言い直しますと、借りたお金で仕入れ、それを売って回収したお金で返済する、これが運転資金の一連の流れですから返済原資の算出だけ過去実績で行う、というのは本当はおかしい、仕入れたものが売れるのかどうかの判断が最も大事なはずです。

 

よって、直近決算赤字=融資できない、という現行の規定は根本的に矛盾しています。

事業性評価が鍵になる

より現実的に考えてみるなら決算書や試算表による過去分析は、実績の累積による評価の一環としてとても有用ですが、それを全てにせず今、もしくはこれから取り組む改善や事業が価値のあるものなのかどうか、しっかりと測っていくことが求められます。

 

事業性評価はそのためのものであることを改めて認識しなくてはなりません。事業性評価は「現在の」事業の成長性や収益性を評価しこれから利益(キャッシュフロー)を生み出す力を推し量るものです。

 

事業性評価を得た上で、今後の事業計画・改善計画を認めてもらうことができれば今赤字であっても融資を得るための道が開かれます。

事業性評価はいつ頃本格化するのか?

一定の要件はあるとはいえ、赤字中でも融資が可能になるわけですが、事業性評価が機能しない限り現実化しにくいわけです。

 

こうなると、コロナ前から言われていた事業性評価がなぜ未だに本格稼働していないのかが気になるところですがここには明確な要因があります。

 

既に実用の域に達している銀行、実施する意思を見せていない銀行、様々ですが、次回のメルマガにはそれら銀行側の状況を一度解説したいと思います。

 

ただし、最終的には事業性評価を採用する銀行(または信金・信組)は現れます、企業側としては、メインバンクの選択時にそのような銀行を選べるように、今から意識しておくのがよいでしょう。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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