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営業レバレッジが大きい会社はハイリスク・ハイリターンの収益構造

今回は、売上高の変化に対して営業利益がどのくらい変化を示す指標の営業レバレッジについてお話をします。財務分析等ではあまり馴染みがない指標ですが、変動費・固定費の費用構造を把握するには有効です。

 

以前お話をした損益分岐点比率は知っている方が多いですが、この指標を知っている方は少ないと思います。

 

営業レバレッジは、売上高の変化が営業利益の変化にどの程度影響するかを固定費の利用度によって測る数字です。

 

営業レバレッジ=限界利益÷営業利益(単位:倍)(限界利益=売上高−変動費)

 

営業レバレッジ=営業利益の増加率÷売上高の増加率

 

固定費の割合が大きいと営業レバレッジは大きくなり、固定費の割合が小さいと営業レバレッジは小さくなりますこの数字が大きいと営業利益に与える影響も大きくなります。そうなると、この数字が大きい方が有利なのでしょうか。

 

売上高が増加して好調な時は利益も増加しますが、売上高が減少して不況な時は固定費を回収できず赤字になる可能性もあります。

 

営業レバレッジが大きい会社は、ハイリスク・ハイリターンの収益構造

 

営業レバレッジが小さい会社は、ローリスク・ローリターンの収益構造

 

になります。営業レバレッジの指標を算出することで、同業他社や業界平均と比較すると会社の方向性か見えてくるケースはあります。

 

変動費・固定費・限界利益等は利益管理をする中で重要です。営業レバレッジを小さくするか、大きくするかは会社の方針により異なりますが、事業構造を見直すにはよい機会なので活用してみて下さい。

 

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また、事業構造の見直すためにはどのように進めていけばよいか?を下記に記載致します。

事業構造を見直すには

事業構造を見直すには、実態数字の把握が不可欠ですが、私共がサポートする企業においては当初9割方出来ていません。どの様な状況になっているかと言うと

 

  • 複数店舗で事業運営をしているのに店舗毎の営業利益が分からない(部門別会計を採用していない)
  • 製造業なのに製造原価方式を採用していない(建設業・運送業・一部サービス業も同様)
  • 収益部門と非収益部門の収支を分けていない
  • 共通費が各部門内部に配賦されてしまって正確な部門利益が分からない

 

などなど列挙すればきりがないですがこの様な状態です。

事業実態を数値で把握できていない

要は経営者が自社の事業実態を数値で把握できていない企業がほとんどなのです。毎月の試算表はどの様にされていますか?との質問に対しても税理士にすべて任している。自社で行っているが出来上がるのは2ヶ月後だから見ても仕方がない。ついには試算表など作った事も無いし、税理士よりもらった事も無いとお答えいただいた経営者の方もいらっしゃいました。

 

まるで他人事です。自身の意思決定の結果を把握せずして業績改善はあり得ません。

 

その為、私共がサポートさせて頂く場合は事業構造・組織構造の実態を把握させていただいた上でまず初めに会計の再構築を行います。(緊急時の資金繰り対応が必要な場合は別途実行)

 

その再構築の方法は把握させて頂いた内容によって変化します。業種によって画一的に決まるものではありません。

 

例えば同じ卸売業でも組織構造上、個人別損益に重きを置く必要がある企業については営業担当毎で部門を設定して試算表に反映させますし、商品構成に重きを置く必要がある企業については商品群の定義を確定させた後、商品群ごとで部門を設定していきます。

 

要はその会社の収益構造を把握する中で、何に重点をおくべきかによって会計の処理方法を変更します。

 

再構築の方針が固まれば、自計化している企業においては経理担当の方に、自計化していなければ税理士の先生に協力をお願いします。

 

最近は弥生会計など安価な会計ソフトで部門別、資金繰り、予実管理など当たり前に出来る状態になっていますので、その点も踏まえて今後どの様なスケジュール感で行っていくのか打合せしていきます。

 

よく原価に入れると売上総利益が悪くなるから販売管理費に入れておくと言う仕訳の仕方をしてらっしゃる企業もありますが、私は売上総利益が悪くなろうとも原価に入れる事を勧めています。何故ならば、実態がそうだからです。

 

粉飾決算でもそうですが、実態とかい離した数値を採用すれば、いつの間にかかい離した数値が経営者にとって、本当の数値の様な錯覚を起こす可能性があります。臭いものに蓋をすれば、いずれ臭いがきつくなって倍返し以上の痛いしっぺ返しに会うものです。

 

そして売上・製造原価・販売管理費・営業外科目や貸借対照表科目に至る全ての勘定科目において仕訳の仕方から変動費・固定費の勘定科目分類分け、部門・資金項目入力等を変更していきます。

 

そうなると変更前に比べれば当然業務量が増えます。税理士先生から嫌がられご協力を頂けない事もありますが、打合せ回数を重ねて協力をお願いし、それでも協力頂け無い場合は担当者の変更を経営者の方にお願いします。

 

この状態でようやく再構築のスタートラインに立てた状態で、その後再構築計画に基づいて担当者と二人三脚で実行していき再構築の体制を整えていきます。

 

【関連記事】商品原価率・販売管理費に着目し再生活動を着手!販売管理費の詳細調査から全ては始まった!

意思決定に役立つツール

試算表作成の目的は正確性よりも事業実態に合わせてスピードを優先する事で、経営陣の意思決定に役立てて頂くツールとして活用する事にあります。

 

優先順位は

 

  1. 事業実態に会計を合わせる
  2. 毎月10日迄に前月試算表、前月資金繰り実績表を作成する
  3. 試算表の精度(正確性)をあげる

 

となり、間違っても3を最初には行わない様にしてください。事業実態の把握できない試算表の数値は間違った経営判断を経営者に与えるリスクがあります。その間違った経営判断を行ったのが試算表の数値のせいだとしても、最終責任をとるのは経営者本人なのです。

 

今一度、自社の試算表が事業実態・組織実態に合っているか確認する事をお勧めします。

 

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この記事の著者

  • 井上 貴裕

    東京の地方銀行に15年間勤務。主に中小企業を対象に、担当者として常時100社前後を担当し、多くの取引先と接し、企業の成長・発展に貢献。事業再生支援・財務分析による経営改善等幅広い業務に携わり、資金調達、金融機関との交渉に強みを持つ。長年勤務し身に付けた業務・知識・経験により、金融機関との良好な関係作り、資金調達の支援、銀行が要望している資料作成は熟知している。500社以上の経営者様の相談を受け、解決手段を1000案以上の提案している。

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