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増加しているコベナンツ融資とその実情について

最近、「コベナンツ付きの融資があるが、コベナンツ条項に抵触してしまい(する予定であり)、非常に心配している。この融資や銀行取引全体に悪影響はあるだろうか?」というご質問を複数いただいております。

 

コベナンツ融資とその実情について、今回説明させていただきます。

コベナンツ融資

コベナンツとは特約条項のことを指し、融資においては貸し手である銀行が借り手である企業に対して行うある種の縛りです。企業はコベナンツ条項を守ることが求められます。

 

主な内容は

 

・財務や損益の数的条件

 

 例:2期連続で債務超過にならない

   2期連続で赤字にならない

   社外への投資や貸付の禁止

 

・経営や情報開示への約束事

 

 例:事業譲渡や新規事業、撤退事業の定義や制限

   関連会社を含む定期的な情報開示

 

いったものが多いでしょうか。融資を行うにあたっての個別の約束事、といったところです。

 

一度違反しただけで即座に期限の利益を喪失することは(よほど強い契約条文でもない限りは)ありませんが融資契約内容の見直しなどを求める、例えば金利の引き上げや返済条件の見直しとなることはあり得ます。

 

銀行側からみると、一旦貸したお金には借り手の期限の利益があり、返済の延滞にならない限りは期限の利益請求喪失も簡単ではありませんが、コベナンツ設定がある場合には延滞のみならず、財務その他の約束事の違反に対して「融資はしたし、延滞はないけれど、そういうことならば、、、」と早い段階で手を打てるということになります、これが近年コベナンツ融資が増加している背景です。

 

コベナンツ内容自体はそれぞれであるため一概にはまとめられませんが、金銭消費貸借契約書上で条件は記載されていますので、コベナンツ付き融資を受けている方で内容把握されていない方は、確認されるのがよいでしょう。

コベナンツ違反=期限の利益喪失?

さて、今日コベナンツ付き融資については、

 

  • 2019年以前、つまりコロナ前に実行されたコベナンツ融資について、コロナ禍の影響で利益条項が達成できない
  • 2020年から2021年に実行されたコベナンツ融資についてコロナ禍の影響はある程度折込まれているものの原価経費の増大が想定以上となった結果利益条項が達成できない

 

といった案件が増加しています。コベナンツ違反によって、既存の融資や今後の新規融資に悪影響がでれば大変、と心配になるのも当然です。

 

しかし、実際のところは「コベナンツ違反に至った要因がコロナ禍の長期化や原価高騰など、コベナンツ締結時に想定することが不可能だったものであるのならば、コベナンツ違反即ち大問題とはならない」ことが大半であり、さすがに銀行も銀行自身が予想できなかった外部要因の責任を一方的に企業に求めることはないようです。

 

よって、過剰に気にすることはありませんが念のため、という意味でコベナンツ違反・条件抵触の可能性については、決算書などを提出することで銀行が認識、ではなく事前に状況を報告し、銀行の対応をうかがうのがお勧めです。

 

上記の通り、コロナ禍や原価高騰の事前予測をできた人なんていません。その責任を無条件に負わされる、というのも無理ですから。ただ、多少なりともコベナンツ違反の解消に向かうための方針・方法は用意しなくてはなりません。

 

どうしても心配が消えなかったり、その後の方針が見えないという場合には、専門家に相談されるのがよいでしょう。エクステンドでもコベナンツ融資でのご相談を受け付けております。下記バナー「無料相談」をご利用下さい。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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