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同地域の同業他社との比較に負けないこと

銀行の方との最近の話、あまり大っぴらに言うのも問題ですが、少しだけ。最近、私がお手伝いしている企業様を担当している方やその上席にあたる本部の方との打合せをしている中で

 

「同業他社の社長からは、◯◯と言われているが、当社様の立場からみてどう思われるか?」

 

というお話をいただくことが増えました。もちろん、それぞれの会社の秘密情報は一方的に開示できるものではありませんので、安易な返答はできませんがコンサルタントとしての見解はお答えするようにしています。

 

やはり、と言いますかその内容は概ね「売上はこれから上げられる、間違いないと言う社長がいるのですが、、、」というものです。

同地域・同業他社との比較による現実性の検討

私がお手伝いしている会社の方では

 

  • 売上に季節要因が大きいが、脱却したい
  • 人の確保が大変
  • 粗利が確保できない取引は行わない

 

ことを旨として進めているため、売上はあまり拡大させない方針で、銀行にもこの流れで毎月進捗を報告しています。

 

一方、銀行の方が気にされている同業の会社では現在足りない利益の確保として、進めている強力な営業先の受注が多く獲得できる見込みでありそれによって利益の確保もできる、という説明をされているようなのです。

 

しかし、こちらの会社と私としましては

 

・営業先は新規開業ではないため、既にどこかの業者さんを使っている。無理に自社へ乗り換えるとなれば価格設定上安価にしなくてはならないのではないかそれでは利益がでないのではないか

 

・また、それら営業先からの売上は季節性が高いため、工業運営、特に人繰りができるのか不安がある(地域として人の確保は大変)人の確保ができる要因がないのならば現実的にオペレーションとしてどうなのだろう?

 

・繁忙期に自社のみで対応できない場合、地域の同業他社に外注をお願いすることはよくあるが、現状どこの同業も繁忙期は同じであるため、そう簡単に委託することはできないと予測される

 

・現在値上げをしている中、値上げを了解してもらうためには質の確保、ノークレームでの運営は必須となる、そのためには受注量はある程度絞った方が得策

 

と考え、意図的にしていないことを、先方では方針として銀行に主張していらっしゃり、銀行ではその現実性に疑念を持って、参考として私に質問された、というわけです。

 

会社それぞれのお考えはあるにせよ、こちらの方針とは真逆ではありますね、結構大変と思います。という私の回答に、銀行の方も納得して下さりましたが、なにしろ、私がお手伝いしている方の会社というのは社長・後継者の専務以下一丸となって事業再生に取り組んでいることが、既に銀行から高い評価を受けているのです。

 

その反対のことをやろうとすれば、明快な根拠がない限りは疑われやすいですよね。

中小企業の最大のライバルは同地域同業他社になる

この出来事そのものの良い・悪いより象徴的なことは「事業方針や取り組みといった、瞬間の数値で測りにくい評価は、同地域同業他社との比較を継続的にされることで行われていく」ということではないでしょうか。銀行は地域に支店をもち、多くの企業に融資をしていますから同業他社との比較は行いやすい立場にあります。

 

また、本部の方では担当者の振り分けを地域だけではなく業種によって行う銀行が増えています。方針や取組を表明し、毎月実績報告を納得の行く形で行える会社が一つでもあれば他の会社は、その会社と比較されていきます。事業性評価も、定性的な評価においては「地域の中での独占性、強さ」によって測られる公算ですので、尚更のことでしょう。

 

必ずしも対立関係だけ、ということではないにせよ同地域の同業他社との比較に負けないことが中小企業の再生には求められる、というわけです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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