債務償還年数の拡大解釈で借入返済が半永久的に不要になる?
良くも悪くも、経営者の方から「うちの債務償還年数では、これ以上の借入は難しいよね」というコメントをいただくことも変わったことではなくなりました。
ここ20年以上、銀行から見た融資可否判断企業から見た借入の適正水準を測る指標として最重要であったものは「債務償還年数」です。基本形としては、
長期借入+短期借入 / 年間キャッシュフロー
で計算されます。債務償還年数は、現状では概ね15年以下か、そうでないかで評価が大きく分かれます。
借入を一定期間以内に返済できる収益力がないと、もう追加の借入をすることはできない、こんな考え方が原理原則だったのですが、これからはもう「別に返さなくてもいい借入」の概念が大きくなっていくことを意識して、単純に借入とキャッシュフローのバランスのみで考えるわけではなくなっています。
返さなくてよい借入の拡大
ここ数年で、それなりに広まった考え方としては
- 保有現預金額
- 正常(所要)運転資金相当額
については、債務償還年数計算上の借入金額から差し引くことが認められています。これは、現預金は借入と相殺すればよい正常運転資金相当額については、そもそも毎月の元本返済は不要とする(この点の説明は何度かしていますが、今回は省きます)
考え方によるもので債務償還年数の拡大解釈として運用されています。それに加えて
- 不動産等の担保については、その担保評価相当額については貸し手の貸倒懸念も極小であることから「資本性ローン」に準ずるものと見なして返済については劣後させ、超長期での返済を認める
- 会社・経営者個人双方で処分可能な資産がある場合その処分価格相当額の返済を劣後させてよい(実際に処分をして相殺するかは応相談)
も、今後より明快に認められます。逆に、それでも一定の返済を必要とする部分は、
- 設備資金に該当すると見なされた借入はその償却期間に合わせた返済を求められる
- ここまで触れた全てに該当しない借入を「赤字運転資金」部分として一定期間内での返済を求められる
となるわけです。
「リスケジュール」という概念も撤廃となる
事業再生におけるこれらのポイントは、今借りている融資契約上の期間・返済条件によってそれを守れるか・そうではないかで返済条件変更(リスケジュール)判断をしていないことにあります。
現在の会社の借入を改めて「正常運転資金部分」「現預金との両建部分」「資本性ローンに準ずる部分」「設備投資部分」「赤字運転資金部分」等、使途に応じて切り分けて、それぞれに対して必要なだけの返済を求めるわけです。
この考え方の範囲内にあるならば、融資契約上の返済条件通りの返済ではない
=リスケジュール
=事業再生途上であり、金融として正常先ではない
という概念すらなくなります。銀行にとっても、企業にとっても再生企業の評価を一変させ、融資可否判断を大きく変える破壊力を持つこの概念、別途また詳細を説明させていただければと思います。
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