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対応力の高い銀行をメインバンクとして選択し銀行取引していく

変わる銀行と変わらない銀行

「銀行は本当に中小企業向け融資の対応を変えるだろうか?」ここ10年以上、ずっとこのご質問をいただいてきました。

 

返答としては「少しずつだが変わってはいる」「今後その変化は大きくなる」「銀行(信金・信組)だって変わらないと、自らも存在できない」ということになりますが、改めてもう一点確認するなら「銀行(信金・信組)ごとの個性の差が大きくなり積極的に変わるところ、変わらないところに分かれていく」ことも間違いないところです。

 

いよいよ、現実に見える変化が起こり始めたので今回は変わっていこうとする銀行の一例を紹介します。

 

2023年4月4日、山陰合同銀行はホームページにて「経営者保証に関する取組方針」を発表しました。

 

その内容は主に、

 

  • 「法人向け融資について、原則として経営者保証は求めない」とし、新規融資は無保証を原則という融資慣行の確立を図る
  • 経営者保証を求める場合は、理由や将来的な保証解除条件を説明する
  • ただし、「法個人の区分・分離」「財務基盤」「適時適切な情報開示」が充分でない場合は経営者保証をお願いする

 

というもので、これまでの経営者保証を解除するための条件そのものに緩和があるか、と言えば無さそうですが経営者保証はとるのが当然、というのがスタートラインだった銀行の現在の考え方を脱するために、明快に宣言をしたことは注目されるべきものでしょう。

銀行ごとの個性の差が大きく広がる

正直なところ、倒産してしまう企業に対して、連帯保証人である経営者の個人資産からどれほどの融資金回収が可能か、というと大したものではないのではないか、というのが(根拠はないのですが)私の実感です。

 

倒産間際の会社において、経営者は個人資産を限界まで自社に投入しているためであり、それならば「法個人の分離」「財務基盤に問題がない」「情報開示が充分」であれば経営者保証が要らないことは合理的です。

 

それでも貸し手にとって保全や担保が要る、となれば事業成長性担保や経営者株式担保の利用を検討すればよいのですから。

 

銀行の本部の方と面談していても、変わろうと奮闘をはじめているところ、そうではないところは温度差が大きくなっています。少なくとも、意思表示を始める銀行が出始めた、というのが今日現在の位置なのでしょう。

変革の時期

私は最近、1998年に金融検査マニュアルが導入された時のことを思い出します。こんなの出来るわけがない、と誰もが言っていたのですが数年経てば(正しいかはともかく)当たり前になっていました。

 

変な例えですが、20年前に「歩きタバコは殆ど無理になる」「スマートフォンで銀行を介さない支払決済ができる」と言っても信じてもらえなかったのではないか、というように。

 

必要があって導入された制度やサービスは、当初反発があっても数年単位でみれば受け入れられるものではないでしょうか。

 

そうなると、必要なことは変化に対して順応していけるかどうか。

 

個性の差が大きくなる銀行に対して、自社の将来の調達の質・量を見定め、対応力の高いところをメインバンクとして選択していく、そんな銀行取引が主流になっていくことでしょう。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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