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融資の大原則「本当に資金繰りに詰まってからでは融資は出ない」

「借りられるなら借りておけ」の是非

本メルマガ3月10日配信分において節税対策の是非について触れました。

 

節税対策ができる、とやるべき、は違うのであり将来予測が困難な今日では足許の現預金を確保する方がよいとしたのですが、関連して借入はどの程度しておくべきか、についても確認しておきたいのです。

専門家による指導の違い

コンサル活動において、お客様企業の経営者とどの程度の借入をしておくべきか、について議論することはよくありますが、他専門家(特に税理士先生)より「金利がもったいないから、借入はできる限りしない、現預金に余裕があれば極力返しておく」ことを指導されている、と打ち明けられることがままあります。

 

私は、程度の問題はありますが、借りられるものは借りられるだけ借りてよい、が基本です。従って税理士先生と逆の主張になり、時には税理士先生より「借入を無駄に増やすなんて、何の意図が?金利が無駄では?」との抗議を受けることもあります。

 

仰っしゃりたいことは理解するのですが、私としては自身の主張を曲げることはできないのです。

現実問題、借りられるものは借りておくのが正しい

私が、税理士先生からみて過剰に見える程、借入をしておくべき、と申し上げる根拠はとても簡単です。

 

一つ確認をさせていただいております。「融資って、真に借りたいときは、借りられないですよね」これだけです。

 

経営者も専門家も皆さんご存知であろう融資の大原則「本当に資金繰りに詰まってからでは融資は出ない」、という見地からいって資金ショート懸念が発生してから融資を得ることは困難なのですから、普段借りられる時に余裕をもっておくことが私にとっては当然です。

 

この原則を超えて、借入を減らしてよいのは節税対策の是非で申し上げました、自己資本比率で20%以上、現預金が月商の3ヶ月分以上ある、という財務水準であり、売上が半減以下になっても資金繰りは6ヶ月以上問題なく回せるという資金繰り水準であれば検討してよい、という話です。(個人的にはこれでやっと「検討してよい」であって「借入を積極的に返す」という意味ではありません)。

 

安易に返済を助長するのは「では、万一にも困った際の調達手法をどのように考えますか?」という問いが生まれることになります。

 

正直申し上げれば(先日の節税の件も含め)、必要のない節税を指導し、返済の必要がない借入まで返済を指導する、というのは会社の資金繰りリスクを高めているとしか私には考えられないのであってせっかくコロナ禍の底を抜けて回復局面にある企業に専門家がわざわざお客様企業のリスクを大きくする指導をするのはよくないなあ、と懸念しています。

 

コロナ禍からの売上回復

原価の高騰

人件費の上昇

 

等、企業のコスト増加要因が非常に多いですから資金対策については是非これまで以上に余裕をもって「借りられるものは借りておく」ことを念頭においていただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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