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私的整理に関する新法が早期に決まる?

昨年、何度か「私的整理に関する新法が検討されている」ことが報道されていました。

 

10月末にまとめられた総合経済対策において、岸田首相が掲げる「新しい資本主義」政策に関わる形で、事業再構築に関して「私的整理において債権者全員の同意を必要とせず、債権者の多数決や裁判所の認可で債務整理ができるように」新たな法案を検討する、というものです。

 

このような仕組みは欧州では元々存在していますが反対する債権者が異議を申し立てたり、債権の買取を請求したりできる制度も存在しているため、どの程度債務者と主要債権者の間だけで物事を進められるようにするのか、検討されなくてはなりませんが未確定情報ではありながら、複数ソースから本制度の法案化、実現が急がれているとの情報をいただきました。

 

未だ検討中、というものですから話そのままというわけにはいきませんが最速では今年中~来年までには、との話もあり政府としては「新しい資本主義」に向かって企業の新陳代謝を進めたいとの意思をもっていることが伺えます。

必要とは思うが、経営者の生活保障は?

ゾンビ企業と呼ばれる企業が20万社近くあるとされその維持に使われる社会的なコストや人材をより生産性の高い企業や事業に投下したい、という点では私的整理を促進するべきことは明白です。

 

しかし、中小企業経営者がどうして、なかなか廃業の決断ができないでここまできているのか、その大きな理由が「廃業した場合、その後の生活の術があまりにも無さすぎる」点なのは、配慮が必要です。

 

新たに職を探さなくてはならないことはもちろんですが自宅その他の資産も大半なくなるため扶養家族を抱えていても生活基盤が失われることが頭をよぎれば「なら、今のままいけるところまでいってみるしかない」と判断してしまうことは、ままあります。

 

また、銀行側でも「金利を払ってくれるなら、先送りしている方が金利収入は得られる」ことで、特に金融円滑化法の後は問題の先送りをしがちではありました。

 

しかし、国としてもう待てない、指導やガイドラインではなく法による強制力をもって整理を促進したい、ということなのでしょう。

ゾンビ企業と経営者はどれだけ救われるのか

ゾンビ企業については別の機会に説明させていただきたいのですが(ゾンビ企業という呼び方は、できれば変えたいものです。ちょっと失礼に過ぎると感じます。ただ、現時点で代わる言葉を見いだせていないので、何卒当面はお許しください)、一定の責任をとらなくてはならない一方で最低限度の生活保障とのバランス取りの話になります。

 

はっきり言ってしまえば、経営者にとって「今のまま限界まで経営を続けるよりマシ」という保障が必要です。

 

最低限、経営者の住処(あえて自宅とは言い切りません)と一定期間の生活費は確保される必要があるのでしょう。

 

その資金を捻出するために、単なる破産ではなく私的整理、それも事業譲渡等を含めた会社の資産や事業の資金化が、これまでよりも問われることになります。制度の内容が開示され次第、またご紹介させていただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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