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メインバンク制の先鋭化と企業側対応

メルマガ8月5日号にて、これからの融資取引はメインバンクに集中すること、融資担当者はメイン融資先に集中できることで銀行員の働き方改革につながることに触れました。

 

銀行員が「もっと企業を見ろ」と言われるようになって久しいですが現場の業務負担の大きさから実のところ無理であったものをメイン融資先に集中してもらうことで緩和していこうという考えはとても合理的で、金融庁がこの方針で進もうとするのも当然です。

 

企業側にとっても、真に改善に取り組んでいる企業にとってはより理解を深めてもらえるならば、単純な財務評価に基づいた解釈しかしてもらえないよりも、余程アピールのしがいがあるものですが、やはり気になるところが残ります。

「優越的地位の濫用」への備えは?

融資取引銀行を、少なくとも民間銀行においては一つに絞ったとしてそのメインバンクが企業を適正に評価し適正な資金需要には必要なだけ資金を融資するのはもちろん、一時的な赤字や、コロナ禍や震災のような外的要因からは企業を積極的に守る(経営計画の作成とモニタリングを前提に、赤字資金でも出していく)というのはとても聞こえがいいのですが、

 

「融資取引銀行が一つになってしまうと、銀行の言いなりにならざるを得ないのではないか?」

 

との疑問が生まれます。当然のことです、また当「銀行とのつきあい方」でも、これまで「複数の融資銀行取引を行うこと」は、会社を守るための大原則としていたのです。

 

しかし、コンサル現場においてもメインバンクが主導してくれればスムーズに状況が進むことは間違いなく、また銀行側が改めてメインバンク制を強化していく、というのならば状況の変化、ということで企業側からみた「つきあい方」も変化しないわけにはいかないのでしょう。

 

となると、目指す方向は「メインバンクが一つあって、いつでもメインバンクを替われるサブバンクをもう一つ用意する」といったところになるでしょうか。

 

また、大きく考えれば、地域経済としての地域企業同士の繋がりの中で、今後は「地域のサプライチェーン全体で、融資をまとめて考える」つまり、一企業単位での融資ではなく、例えば商店街全体でのメインバンク制をとることで、一つの会社だけでの一方的な評価を受けることを回避するような、そんな対応が生まれるのではないかと予測しています。

 

一企業だけでは対抗できなくとも、繋がる企業で合わさって銀行と向き合っていく、ということですね。地域経済そのものと地域金融機関とは共存共栄関係ですから単に反発するばかり、とはいかないでしょう。

とはいえ、融資には保全(担保)も必要

しかし、銀行側も「やれ、やれ」と言われるばかりでは限界がありそもそも融資はローリスク・ローリターン商品であるため前のめりにやるからといっても、何も保全なしというわけにもいきません。

 

そこで、新たな担保制度の導入が検討されているのですが、その説明については、来週金曜日にさせていただきたいと思います。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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