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金融庁の抜本的な改革は、常識が変わる

7月22日号で、これから始まる金融行政の改革についてほんの触りではありますがお伝えしました。

 

債務超過→貸倒れが怖い→融資できない、から債務超過であっても、事業の成長性が見込まれる企業であれば貸倒れが怖い→ならば、追い貸しをすればよい

 

という、大きな舵取りの変更です。言われてみれば、そうだよね、、、と感じますが債務超過だから貸せない、というのはそれこそこれまでの金融に対する「常識的な」考え方であって

 

・金融の本道は「与信」行為である

 

とするならば、事業の将来の成長性を信じられる限りは資金不足を理由として頓挫させるなんて銀行としてあってはならないことなわけです。資金が足りないなら、貸せばいい

 

そうそう都合のいいことばかりではないのですが(都合の悪い部分についても近日解説させていただきます)、それでも、基本概念として銀行員のみならず企業経営者も、専門家も今一度、これまで当然と思っていたことを捨て去る必要がありそうです。

メインバンク制は先鋭化して「単一銀行取引」へ向かう

本日は、別に新たな常識を一つ挙げていきます。

 

このメルマガにおいても、メインバンク制が復活したこと、今後は融資取引銀行は減少させるべきであることは何度も触れてきたものではありますが、金融庁の将来像はもっと先を行っていたものであることが確認されました。

 

将来的には、政府系金融機関はともかく、民間においては

 

「融資取引銀行(金融機関)は、一つで十分」というのが将来の姿です。

 

設備投資型の産業や、回収サイトの長い事業を行っている企業は、ある程度の借入をする必要がどうしてもあり年商10億円程の企業であっても融資取引銀行は3から5程度あっても普通なのが現在の姿ですが、今後は究極的には民間で1(せいぜい2)、他は政府系金融機関で賄っていく、ということになります。

 

上記の通り、「資金が足りなければ貸せばいい」という概念を実現するため、判断する金融債権者の数を減らしメインバンクの判断一つで十分な資金供給ができるように、という判断です。

実は、企業にも銀行にとってもメリットが大きい

私もそうだったのですが、このポイントを伺ったときに、「銀行員に、その負担が耐えられるだろうか?」「融資取引銀行が一つだと、企業は銀行の言いなりにならないか?」という疑問が生まれます。

 

しかし、その答えは納得できるものがあり、考えてみれば銀行にとっても、企業にとってもメリットが大きいものです。

 

来週金曜日には、この「新たなメインバンク制による銀行とのつきあい方の変貌と銀行員の働き方改革」について触れていきたいと思います。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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