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銀行員にだって思い入れを持つ会社はある

コロナ後を見据えて

再び新型コロナウイルス感染症の新規感染者が増えている、とのニュースが出ていますが、これまでに比べると露出は減っているようです。

 

医療崩壊にならない範囲であるならば経済をもう止めることはできない、という雰囲気ですが企業の売上にはまだ長い影響がでてしまう、という心配を持ちながらの舵取りになってしまうことは残念ながら避けられません。

 

企業経営は、なかなか一息つかせてくれませんが会社の、事業のあり方から見直す好機として前向きに捉える会社は確かに存在しており、成果の出ている会社・そうでない会社の差が大きくなりつつあります。御社の取り組み内容は、十分に銀行に伝わっていますでしょうか?

事業再生の取り組みは、もう終わっている?

とはいえ、新たな中小企業支援策というのは少なくとも、「多くの企業が利用できる」という意味ではめぼしいものがない、というのが実感です。

 

一方コロナ対策融資(ゼロゼロ融資)の返済が始まり、既に始まっている社会保険や国税の納付猶予分の納付と合わせてこれからは企業の資金繰りは、利益なしには維持することが困難であることから、今後は廃業・倒産が増加することになります。

 

率直に言えば、1998年の金融危機・貸し渋り以降、2008年のリーマンショック、2011年の大震災から今回のコロナ禍に至り、「中小企業には想定、備えの仕様がなかった出来事の赤字を融資(もしくは返済の猶予)によって補填しよう」という政策は、これ以上は無理、もうできないということになった、と判断せざるを得ません。

 

この意味での「事業再生」の取り組みは、終わったのです。

 

一方で、この状況下でも自助努力によって収益改善を実現した・しつつある企業に対しては資本制ローン、DDSといった融資を単なる企業の負債としない取り組みが用意され、少しずつですが取り扱いを増やしています。

 

「すべての企業に救済の可能性を与える」から「一定の実力を示した企業を救済する」に変化したことの表れです。

まずは、「融資担当者を味方に」できるか?

すべての企業ではなく、実力を評価された企業から救済される、というのが避けられないのならば自社を真っ先に評価してもらえるようにしなければなりません。

 

評価する側の銀行員だって人間です。数十から、場合によっては100以上の融資先を担当する中で興味をもった会社、何かできないかと本気で思う会社この会社の発展や再生に貢献できないか、と思う会社は大抵存在し、順位をつけることだってできます。

 

これはどうか責めないで、許していただきたいのです。私もかつてはそうだった、ということもあるのですが銀行員も限りある時間の中で、多くの制約の中で何かやろうとすれば全部はできない、と思うと優先順位は生まれてしまうのです。

 

だから、銀行に何かを働きかけるのであればまずは担当者に、次に課長に、その後には支店長に「何かできるとなれば、まずはこの会社」と思ってもらうことが一番です。

 

新たな金融商品や支援サービスが生まれても、予算の都合があるため、一つの支店でできる企業数は資本制ローンやDDSなら数社から20社程度がいいところ(今後ある程度増加する余地があるとはいえ)。とすれば、数百から数千にのぼる一つの支店の融資先の中で、上位1%くらいには注目される必要があります。

 

一人の担当者では、1から2社くらいでしょうか。

 

だから、銀行に普通以上の対応を求めるならばまずは融資担当者にとって一番注目される企業にならないといけません。

 

銀行の融資担当者は、個別の変わった事情が無い限り対立する相手・言い負かす相手ではありません。銀行員が将来に渡って「あの会社のことは一生忘れられない」と思い続ける、そんな会社を目指すことが銀行の支援を得るための道であり、裏技はないのです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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