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中小企業は価格の見直しを避けられない

コロナ禍が落ち着いても、利益は戻らない?

正直なところ、コロナ禍について触れ続けるのもうんざりしているのですが、残念ながら今日明日にコロナ禍が沈静化するわけではないようです。

 

しかし、政府は昨年・一昨年と比べればコロナに配慮しつつも経済を動かしていく方向にあることは間違いありません。

 

そうとなれば、相応に売上だって回復していく、今はひどい底打ちをしているけれど少しはマシになるだろうかと期待する業界・企業・経営者の方は多いことでしょう。しかしながら、なかなか楽はさせてもらえないようです。

 

・原油・ガスといったエネルギー

・小麦や魚類をはじめとした食材

・木材等の建設部材

 

等など、価格が上昇しているものが多いのです。

 

原因はコロナ禍(による物流の停滞等)であったり、ウクライナ問題であったり、急速な円安だったり、海水温の問題だったり様々ですが、どれも一企業が努力して吸収できるようなものではありません。

 

原価の増加により、粗利益率が低下します。すると、売上が戻ったところで、利益はコロナ前通りにでるの?という問題に直面することになります。

人件費のコントロールもこれまで通りとはいかない

一方、労働者不足と言われるようになって久しいですがコロナ禍で一時的にも人員整理等を行ってしまうと売上回復、といっても生産側として企業が対応できない懸念があります。

 

人員を改めて集めようとしても、時間とコストが要りますし何よりこれまでと同じ給与では応募者が集まるかどうかも悩ましい、そんなご相談が増えています。

 

企業経営者は原価が増え、人件費負担も増大する中で、利益を出していかなくてはならないのです。

価格転化は必須

上記を鑑みますと、コロナ禍が落ち着いてきたとしても価格の見直しは避けられません。

 

原価の上昇分は価格転化して、人件費負担の増大はDX(デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革、新しい生活様式への適応で対抗していかない限り、中小企業が十分な利益を出していくことは困難なのです。

 

正直、私のコンサル活動としての基本は、コロナ禍がなくとも「中小企業の価格設定は、安すぎることが多い」のです。売上減少を怖がるあまり、安売りを止められないでいる企業様の、何と多いことか。

 

改めて、中小企業はコロナ禍を機に、価格設定を全て見直し、継続的に見直しを続けるべきなのです。

 

私のお手伝いしている企業様では、

 

・4年間で30%の値上げ

・今年15%の値上げ

・ここ2年で20%の値上げ

 

等を実現しています。

 

売上がゼロになってしまっては確かに困ります、が、売上が増えても(戻っても)利益が増えない、というのは社長も社員も仕事が増えたのに、後で残るものが減っているという意味で、経営として許すべきではありません。

 

売上が減っても利益が減らないのなら、社長自身だって時間には余裕ができるはず。もはや売上を基準にして経営を考える事自体が止めるべきでしょう。

 

コロナ禍が落ち着き、企業の売上が回復した時に見込んだ利益が計上できるかどうか、は銀行にとっても評価として非常に重要なものとなります。是非、御社の価格の妥当性については何度でも振り返っていただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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