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銀行の外貨両替業務が大幅縮小しています

銀行窓口での外貨両替は一部を除き廃止

三菱UFJ銀行とみずほ銀行が昨年5月に窓口での外貨両替業務を廃止自動両替機のみでの対応としていたのに続き、2022年3月末で三井住友銀行も取扱いを廃止することが決まっています。

 

前世紀の日本人は海外旅行前に銀行や旅行業者、ホテル等である程度外貨を両替して持っておくことが当たり前でした。

 

一方で銀行にとって両替手数料は収益源として非常に大きなものでした。両替という業務は、銀行等の一部業者だけがもつ「両替商」の認可が必要で、独占的地位を確保しており、十分な手数料を得ることができたのです。

 

1998年の法改正によって両替業務が自由化されたことで両替業務も競合にさらされ、利益率は減少することになります。

キャッシュレスは、外貨取扱で先行している

原因はそれだけではありません、キャッシュレス取引の普及によって外貨現金を持つ必要性が小さくなったことも、重要な要因です。

 

海外でもクレジットカードで大半の支払いができるのならば盗難や強盗の原因にもなる現金は持たない、という考え方が広まりましたし、両替取扱が減少したことで銀行にとっても外貨を在庫として抱えるコストとリスクが大きくなっていました。

 

さらにはコロナ禍によって海外渡航する日本人が減少したことが最終的な追い打ちとなりました。質・量ともに、銀行にとって外貨両替はもう儲からないもの、と判断されているようです。

 

利用者側からの視点で考えても、今日外貨両替をしようと思えば空港その他にある自動両替機の利用もできますし、時間に多少の余裕があれば宅配サービスで外貨を購入することもできます。

 

手数料もかつての銀行窓口での両替に比べれば、随分と安価である以上、もはや役割は終わったと考えるのが妥当なのでしょう。

 

銀行=お金に係ることは大体行っている、という概念からすれば両替ができなくなるというのは違和感が残りはしますがキャッシュレスへの移行、という見地からも避けられないものです。

 

円での現金取引も縮小、銀行の両替取扱手数料は増加していくことが見込まれる中、外貨において先行した、ということができます。

次は円、可能な限りキャッシュレスに対応する

今回は主に外貨の話ではありましたが、円取引においても手数料が上がっていくのは間違いありません。

 

昔は家電量販店等で「現金なら、クレジットカードよりもポイント還元がお得」なんて売り文句もあったものですが、これからは逆。現金の方が不利になりつつあります。

 

中小企業であっても、現金取引が残る場合にはその縮小、もしくはコスト・リスク相当部分の値上げを検討しなくてはなりません。

 

現金を取り扱うというのは、それだけでセキュリティと事務的なコストがかかるのですから。約束手形も数年内には廃止になる見込みであるのに合わせ、現金取引も見直すべき時がきています。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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