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コロナ禍はこれからが本番

ゼロゼロ融資、半分は9月迄に返済がはじまる

全国地方銀行協会が16日に行ったオンライン記者会見で、コロナ禍における実質無利子・無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資について「2021年9月末に残高がある約40万件のうち、既に4割で返済が始まっており、2022年9月末迄にはおよそ5割に上る見通し」であることを明らかにしました。

 

民間金融機関でのゼロゼロ融資は2021年3月に既に受付を終了し、元本据置期間が設定されていたのですが、それが終了することで順次返済がはじまっていく、ということです。

 

民間銀行にとってのゼロゼロ融資はつまるところマル保(信用保証協会保証付き融資)ですから、よく言われる「銀行のリスクがない(小さい)」ものですが、コロナ禍からの回復と増える返済が見合わない企業に対して、銀行がどれだけ支援していくことができるのかが注目されます。

 

日経新聞記事によれば「静岡銀行では既に返済のはじまっている企業の約4割に対して自前(プロパー)での追加融資を実行している」と、銀行側での取り組みを紹介しており、この内容を疑うわけではありませんが

 

ゼロゼロ融資に早い返済開始を組み入れている企業は、おそらくは財務体質が強固、もしくはコロナの影響が小さいと思われる(だからこそ、ゼロゼロ融資実行時に元本据置期間を長くする必要がなかった)ため、ある程度融資ができて当たり前であることを考慮するとゼロゼロ融資に対する折り返し融資は、誰でも得られるものではない、と考えなくてはいけないでしょう。

ゼロゼロ融資の今後

銀行の方と話をしていても、ゼロゼロ融資については

 

  • 会社の状況によっては、ゼロゼロ融資の返済を猶予する(リスケする)こと自体はできなくはない
  • しかし、他の融資と比べて優先的に返済をしていただくことが基本になる
  • ゼロゼロ融資自体の折返し融資は原則としてない。別に新規融資の検討をすることは不可能ではないが、その場合は当然、借り手企業の返済能力が問われる

 

という内容で概ねまとまっています。ゼロゼロ融資は、あくまでコロナ禍での損失を「一時的に」肩代わりするものであって落ち着いたら優先的に返済が求められるわけです。

 

2020年、2021年にコロナ禍でありながら倒産件数が抑制された要因だったゼロゼロ融資が、今度は最も中小企業を苦しめる原因になるは避けられません。

中小企業にも財務戦略が求められる世界

この問題に抜け道はないのですが、解決方法としては「貸借対照表上、負債に存在するゼロゼロ融資を銀行の承認を得ることで実質的に純資産に振り替える」ことが何よりです。純資産での評価を得られるなら、優先的に返済する、とされているゼロゼロ融資がむしろ返済は後でよいもの(例えば、10年間は元本返済が要らない)に変化します。

 

この評価を得られるか、がこれからの銀行の中小企業評価の最大のポイントになることでしょう。ただし、これは「この財務指標がいくつになればよい」というものではありません。手間ひまをかけ、事業での実績と銀行との対話を積み上げていった先に生まれる評価です。

 

この意味で、これまで以上に中小企業にも財務戦略は必要になる、といえます。

 

現在既に、この取り組みが進んでいるクライアント企業様の進めている内容について、近い内にセミナー等でお伝えすることができればと思います、その際には是非ご来場いただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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