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メインバンクの決め手はやっぱり本業

メインバンクおさらい

先週、3月11日配信分で、メインバンク制が復活していること、しかしながら過去の銀行取引が偏ってしまったり無意識過ぎた場合、メインバンクが融資残高では一番多いのに、マル保や有担保ばかりでリスクがないため、本気で支援をしようとしない危険性について触れました。

 

中小企業は自衛のため、メインバンク=信用(プロパーで無担保の融資)が一番多くなるように、銀行取引のバランスをとるべきです。

 

一方、昨今の銀行は融資のビジネスモデルには限界が生じたことで

 

・M&A

・ビジネスマッチング

・他金融商品の販売

・人材派遣

・情報システム販売やコンサル

 

等など、様々な顧客向けの提案を用意して収益の多角化を図っています。

 

これらは、メインバンクからの提案ならば銀行取引の深耕のため、受けていくべきものでしょうか?近頃はこのような相談も、よくいただくようになりました。

正直厳しい

結論を申し上げてしまえば「明確に御社にメリットが無い限り、受けなくていい」です。

 

銀行の取り組む多角化は、銀行が融資先の決算書を知っていればこそ、本来は非常に大きな提案力を持ちうるのですが、M&Aにせよ様々な他の商品にせよ、既に専門業者が多数存在するものばかりで、純粋な商品力として劣ってしまっていることが大半です。

 

また、協力という見地で購入したとしても、それを理由として融資が出る、ということは有り得ません。融資は、あくまで融資として審査されるものだからです。

本業はどこまでも融資、まずは融資

さらに、私が個人的に懸念しているのは、銀行が「融資ができないのに、収益が欲しくて提案してきてしまった」場合、というのがよくみられることです。

 

事業の再構築、ビジネスモデルの見直しは中小企業だって問われています。銀行がそれに取り組んでダメなんてことはないのですが、銀行の根源的な役割は融資による経済循環の活性化である以上、他の提案というのは「融資について顧客と納得のいく合意が得られた後」でなければ、おかしいのです。

 

融資の話もせず、こんなものもある、あんなものもある、というのは企業経営者の求めるものと全く異なりますよね。まずは必要な融資が出るかどうか、です。

 

従って、メインバンクとの関係があるから他の依頼を聞くのではなくて、納得のいく融資取引関係が得られた銀行ならば、他の話を聞いてもいい。それは必ずしも今日のメインバンクでなくてもいい、というのが基本です。

 

メインバンクだから他のこともしてね、というのでは単なる従属関係になってしまいます。他商品については、また別の目で、あくまでも御社の将来に有用かどうかでご判断いただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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