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ポジティブ・インパクト・ファイナンスという新たな概念

事業性評価の概念をさらに推し進めるもの

ポジティブ・インパクト・ファイナンス(以下PIF)という融資手法が現実化していることをご存知でしょうか?

 

これまでの通常融資に際しての主に決算書を通じた「返済能力の評価」事業性評価で改めて焦点があたる「事業の成長性」「生産性の向上」に加えて「融資による資金投下により環境や社会に与える影響」をも評価する、という考え方で、主に

 

  • 脱炭素化等の環境問題解決を促進する技術開発
  • 少子高齢化に対応する生産性の向上
  • 地域雇用の促進や地域経済の活性化

 

が評価対象になります。

かなり踏み込んだ特徴

この概念はこれまでも無かったわけではありませんが、明解な評価要素としてあったか、融資をするためのり主たる理由になったか、と言われれば無かったものです。

 

しかし、一部銀行では既に数十件単位での実行がなされており、現在発表されている内容から判断するに、「インパクト(影響)」の評価項目として、

 

  • 汚染土壌のリサイクル率
  • 環境性能の高い住宅の受注比率
  • 地元の新規雇用数、高齢者・障害者の新規雇用数

 

等が採用されています。注目するべき点は、

 

  1. 非財務(決算書で読み取るものではない)評価項目であること
  2. 融資先との対話の中で、個別に設定された項目・数値であること
  3. 融資時点では実績ではなく目標として設定されており、
  4. その後のモニタリングによって進捗管理されること
  5. 達成度合によって、その後の金利他の条件に変動が入ること

 

と考えます。これまでの融資の常識からは二歩も三歩も前に出ているものです。

 

また、融資案件毎での評価のみならず企業の評価(格付け)自体を底上げする、という動きも発生しており、第三者機関による「企業理念や事業が社会に与えた影響」の評価から認証を得た企業については格付けを引き上げ融資条件を緩和する、という制度を実施している金融機関も生まれました(例えば、京都信用金庫)。

「頑張っている」だけでは評価されない

このPIFへの動きは、止まらないのではないかと予想されます。銀行がSDGs等に対応しようとすれば、自身の融資先に持続可能性や環境対応を求めるのは当然のことですし、これまで通りの企業評価では融資先がなくなる一方なのは明白なのですから。

 

そうなりますと、中小企業も適応していくことが求められます。事業で収益を出していくことは大前提ではありますが

 

融資が欲しいから決算書をこうして、ということではなく自社がどのような事業を営んでいくことでどのように社会に関わっていくのかより根源的な問いへの答えを追求していかなくてはならないのでしょう。

 

私が現在お手伝いしているお客さんでも、PIFを概念に入れた取組みをしている企業がございます、折に触れて、その進捗や動向もお伝えしていければと思います。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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