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2022年は振込手数料が大きく変わる

少額送金は、振込手数料が無料化される?

コロナ禍の中で進む、DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れは、2022年には銀行業界でも明らかなものとなっています。

 

本メルマガでも昨年8月に触れておりましたが、昨年秋以降メガバンクを中心に振込手数料の値下げが実施されました。さらに、メガバンク・りそな銀行・埼玉りそな銀行が新たなシステムを構築、10万円以内の少額送金については振込手数料を無料とする方向で検討が進んでいます。

 

振込手数料の値下げ、それ自体は大きなことではありますが表面上では一つの出来事、とも捉えられがちです。しかし、背景を確認しておくことで銀行の現状を知り、より大きなくくりで「銀行とこれからどう取引をするべきか」対応を量っておくことは必要でしょう。

振込手数料値下げの背景

私達は振込を依頼する際、手数料は「振込をする(仕向)銀行」に対して支払っていますがこの手数料はその後、「振込をする(仕向)銀行」と「振り込まれる(被仕向)銀行」とで分け合っています。

 

より具体的には、仕向銀行は被仕向銀行に対して、銀行間手数料として

 

  • 振込金額が3万円未満の場合は117円(税抜)
  • 振込金額が3万円以上の場合は162円(税抜)

 

を支払っています。

 

仕向銀行にとっては、この銀行間手数料は不可避のコストで、銀行間手数料と、自身のコストを引いた分が収益になるため、要するに、銀行間手数料以下の手数料金額設定は不可能だったのです。

 

今回、40年以上に渡って不変だった銀行間手数料が2021年10月より、「内国為替制度運営費」と名目が変わった上で

 

  • 振込金額に関わらず、62円(税抜)

 

と変更になりました。これが、銀行の振込手数料の値下げが実現した最大の要因です。理論上は、振込手数料は62円で、銀行の粗利はゼロということになります(原価をどう捉えるかによりますが、ここでは極論として)。

DXの導入による新たな銀行実務

この仕組みは、「ことら」と呼ばれる新たなシステムを使用し、送金方法も携帯電話の番号やSNSのID、メールアドレス等の利用で本人確認等の事務を簡略化するとのことで、2000年前後にインターネットバンキングが普及して以来の大きな銀行取引の変革、ということができそうです。

 

他の企業と同様に、生産性向上のためDXによる業務革新を迫られている銀行の、一つの施策が現実化したわけですが、銀行のDXは、これからの数年で他の業務にも広がっていくでしょう。

 

特に、

 

  • 本人確認(マイナンバーカード等を端末で読み込む等)
  • 印鑑以外の承認方法(サインや指紋、網膜等?)
  • オンラインによる相談や面談処理の拡大

 

等が検討されていますが、銀行にとっては顧客への利便性を損なわず、自身の収益を上げる(リモートでできることを増やし、窓口等の対面業務を減らす)ためのものですから、窓口や訪問による対面業務や処理へのコストを減らすことがセットです。となれば、窓口処理や面前対応が必須な現金処理については手数料の引き上げや、対応が優先されないようになっていくことは間違いないのでしょう。

 

企業側にとっても、生産性向上に取り組まなくてはならないことは変わりない以上、銀行(資金)業務のあり方をはじめ管理業務の効率化は避けられません。

 

キャッシュレス・サインレス・ペーパーレス化への対応の中に、銀行とのつきあい方も含まれていきます。折に触れて、御社ご自身が不利にならないように銀行取引を設計し、むしろ収益力の確保に繋がる運営体制を構築していただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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