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オルタナティブ・ファイナンスは新たな資金調達となるのか?

新たな資金調達方法の総称

オルタナティブ・ファイナンスとは、オルタナティブは、直訳で「代わりの」という意味ですから、概ね「既存の融資を中心としたものとは異なる資金調達手法」という意味になるでしょうか。

 

ファクタリングのような既存の融資とは異なる仕組みの資金調達手法のことを「オルタナティブ・ファイナンス」と呼ぶようになりました。

 

ファクタリングや、後払い決済サービスという形で既存の融資とは異なる企業評価での実行がなされることで単一的な資金調達可否から、より多様性のあるものへ進化することが期待されています。

 

「補完金融」と訳される通り、オルタナティブ・ファイナンスは

 

  • 売掛金を買い取ることで現金化するファクタリング
  • webを通じて小口の投資を広く募るクラウドファンディング

 

等、どちらも融資で行われる財務評価等とは違う形で資金調達の是非が決まります。

 

売掛金の評価が得られれば、財務評価そのものは融資不可であってもファクタリングは実施可能、ということが当たり前にありますし、クラウドファンディングに至っては、財務評価には目を瞑っていることもままあります。

 

銀行はこれらのオルタナティブ・ファイナンスとは一定の距離をとりつつも徐々に取扱を模索してきた、といったところですが、ここへきて一気に「銀行自らが取り扱うオルタナティブ・ファイナンス」が拡充されていく見込みになりました。

マネーフォワードが取り組むオルタナティブ・ファイナンスと銀行

マネーフォワードといえば、クラウド上での

 

・会計処理

・請求管理

・支払管理

・経費管理

・勤怠管理、給与計算

 

等を、随分と安価に、1つのソフトで行える今日大注目のサービスですがオルタナティブ・ファイナンスとして

 

  • 企業間後払決済サービス
  • 売掛金早期資金化サービス(ファクタリング)

 

をも提供しています(正確には、グループ企業のマネーフォワードケッサイ社による提供)。

 

また、ビジネスチャット王手のchatworkも早期資金化サービスの提携を行っており、chatworkの画面上で申込から資金の入金まで完結させることができます。

 

銀行を介さず、また、「他の業務で使っているサービス」から金融、調達処理を行うことができる…、これまでとは全く違うサービスです。

 

一方、銀行でも有名どころでは三菱UFJ銀行や広島銀行が同社との提携を発表しており、資金供給側として融資だけに依存しない、提供サービスの一つとしてメニューに載せていこう、という動きが大きくなっています。これからも同様の取り組みは広がっていくことでしょう。

今後の展開見込み

実績として、ファクタリングで言えば2020年は前年に比べて市場規模が2倍近い1300億円程度に迄大きくなった、とされています。

 

マネーフォワード社の売掛金早期資金化サービスも、既に累積取扱金額が500億円を超えたことが発表されました。

 

中小企業にとっての資金調達手段は、融資に依存されてきた時代から複数の手法から選択されていくものに変わっていく、ということです。

 

しかし…、オルタナティブ・ファイナンスにおいても、融資とは少し異なる形で受けられる会社と受けられない会社に分けられていくことになります。

オルタナティブ・ファイナンスの根底

オルタナティブ・ファイナンス(今回はファクタリングと後払い決済サービスとします)は、既存融資に比べれば企業全体の財務評価による可否判断の割合が小さいものです。

 

それだけ、コロナもしくはそれ以前の災害等で財務が傷んでしまった企業にも資金調達のチャンスはあるわけですが、当然のことながら、金利が融資より高い、というだけでは済まない要素があります。

 

  • オルタナティブ・ファイナンスはファクタリングにせよ後払い決済サービスにせよ、実際の売上(売掛)があってこそその範囲内での資金調達となる、という特徴があります。従って、資金使途は「運転資金」、しかも売掛と回収資金の存在を常に(多くの場合は1ヶ月に一度程度)示すことができなくてはなりません。
  • 概ね売掛金の締日から回収日までが最低でも20日から1ヶ月はないと採り上げてもらえないようです。

 

これらの特徴は、オルタナティブ・ファイナンスの資金の出し手からみて、

 

  • 不動産や有価証券の担保を取りにくい
  • 財務評価のみでは新規のファイナンスを行いにくい
  • 資金は出したいが、何らかの保全(担保)がないと出しにくい

 

中小企業に対して、

 

「でも、きちんと売上と利益が上がっているのなら売掛金は回収されるのだから、この回収資金を返済原資として考える、それならば資金は出せる」

 

ことからきています。実際の売上と売掛が適正に上がってその後回収されるのか、というとことに焦点がいく代わりに自己資本比率やら流動比率やらの財務指標にはある程度目を瞑る、ということですね。

赤字では難しいことは、融資と極端には変わらない

上記より、売上が大きく減少した企業の場合は売掛金も減少するため、理論上ファクタリングを得られるとしても金額がより小さくなることは注意が必要です。コロナ禍においては赤字もやむを得ないものなのは大前提ですが売上減少に伴う赤字資金の補填としては、オルタナティブ・ファイナンスは利用できない、せめて売上が回復する、「これから売掛が大きくなる」タイミングでないといけない、ということです。

 

今後資金調達手法が融資だけではなくなることは間違いありませんが融資であろうとオルタナティブ・ファイナンスであろうと事業損益が黒字であることが資金調達の条件であることを前提に、普段から資金に余裕のある経営をすることが財務戦略の要になるでしょう。

 

経営者には、これまで以上に「借りられるものは借りられる時に借りられるだけ借りておいて、現預金はできるだけ厚くしておく」という考えが求められますが、その辺りはまた別の機会にお伝えできればと思います。

 

エクステンドでは、経営者からの無料相談を受け付けています。業務改善したい、新たな資金調達を得たいや、返済・資金繰りが厳しいなどのお悩みでしたらお気軽にご相談ください。まずは下記バナーより「無料相談」をご利用ください。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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