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金融機関のご対応が少し変化した様に思えた部分

中小企業は誰が守るのか?金融機関は統合という形で経営強化を図っている?

 

先日、東海地方で愛知銀行と中京銀行の経営統合のニュースが報道された事は記憶に新しいかと思います。東海地方では三重銀行と第三銀行が三十三銀行として既にスタートしており、今回の件でいよいよ地銀再編のスタート?となるのでしょうか?

 

今回は、新型コロナウイルス感染症の影響により金融機関のご対応が少し変化した様に思えた部分についてお話しさせていただきます。

 

政府の手厚い支援によりコロナ融資にて資金調達をされた企業も少なくはないかと思います。あくまでも私の個人的な意見です。

 

私が金融機関に勤務していたころは、新規融資先の獲得、保証協会付融資の獲得、融資量の増加等大変厳しいノルマがありました。貸出以外のノルマとしては、クレジットカード、投資信託、変額保険等多くのノルマがありました。特に金融機関の決算に関連する3月、9月は借りる必要もないのに金融機関から融資、投資信託等の預かり資産のお願いをされた経営者の方も多いかと思います。

 

しかしながら新型コロナウイルス感染症の影響を受け、コロナ融資が出てからはどうですか? 

 

コロナ融資の勧誘は活発になったものの、金融機関の決算・中間決算時の当座貸越等の極度取引を利用したお願い融資は減ったのではないでしょうか?

 

資金が潤沢にありますので、言葉巧みに預かり資産の勧誘は継続的に行われているのではないかと私は思っています。

 

ストレートに物事を言わせていただくなら、『金融機関にうまく利用されていませんか?』と私は言いたいです。

 

本来、金融機関からのお願い事については、優越的地位の濫用にあたるのではないかと私は思います。

 

あまり聞きなれない言葉かと思いますが、2021年7月に当時西村経済相が緊急事態宣言下で酒類提供を続ける飲食店について、「要請に応じない店の情報を金融機関に共有する」「金融機関からも順守の働き掛けをしてほしい」などと発言されこの発言の直後から、「優越的地位の濫用ではないか」との指摘が相次いだ事は記憶に新しいかと思います。

ではこの優越的地位の濫用とはどの様なものなのか?少しお話しさせていただきます。

「優越的地位の濫用」とは

「優越的地位の濫用」とは、『私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(通称:独占禁止法)』第2条第9項第5号で定められた「不公正な取引方法」の一種です。不公正な取引方法は、同法第19条で「用いてはならない」と明記されているため、すなわち法律違反行為であり、摘発されれば、行政処分や損害賠償等の民事責任を負う可能性があります。

 

優越的地位の濫用を構成する要素は以下の3点であると言われております。

 

  1. 取引関係にある者のうち一方が優越的地位にある
  2. 取引は正常な商慣習(※)に照らして行われている
  3. 優越的地位にある者が相手方に不当に不利益を与える※各業界において通常行われる範囲での経済行為

 

ちなみに優越的地位の「優越」の基準は、絶対的ではなく相対的と解釈されています。あくまで当事者間での取引依存度や市場での地位の優劣などを考慮するのが通例です。優越的地位の濫用は、「取引する商品やサービスの相場は常識の範囲内に収まっているが、自分の立場を利用して相手に不利益を与える行為」とまとめられています。

では金融機関からのお願い事についてはどうなのでしょうか?

金融機関はお金を貸す、企業はお金を借りる立場とした場合、実際にお金を借りる側からすれば、金融機関からお願いをされれば『断れない』というのが本音ではないですか? 

 

特に業績が悪ければ悪いほどその気持ちは大きいものだと思います。これこそ上記に該当するのではないでしょうか?

 

お願いされても受け入れる必要はないと私は思います。お断りした事で融資に対する対応が変わると私はおもいません。思いたくありません。もしそうでなければその金融機関との取引をやめればいいからです。

 

逆にお付き合いをやったからその後の融資審査に有利になるのでは?と思ってみえる経営者の方も中にはみえるかもわかりませんが、有利になることは全くありません。

 

あくまでその企業の財務内容と収益力等で審査をされますので、融資審査に「忖度」はないのです。仮に「忖度」で融資をやると、「情実融資(禁止事項)」と見なされます。『情実融資』?の方の為にもう少しご説明させていただきます。

 

情実融資とは言葉のごとく、友人関係など、金融機関の役職員の個人的な関係に基づいてなされる融資のことを言います。企業の財務内容と収益力等で審査を行い融資をするのではなく、情で融資をする事ではないでしょうか? この情とは金品を含めた要求、もしくは提供ではないでしょうか?

 

禁止事項ですので当然あってはいけない事だと思いますが、実際はどうなのでしょうか?

 

実際に支店長に手数料を支払い融資を受けたという噂話を聞いたこともあります。微妙な実例で説明をするならば、支店長・担当者に接待を行う。本音は言いませんが、接待を継続的に受けたいからいい条件で融資を実行するという事も実際に存在しているのではないでしょうか?

 

金融マンが自覚していないだけで、知らないうちに実際におこなわれているのが事実だと思います。今回お話しした内容は禁止されている事項であります。

 

つまり、「今後も融資を出してもらえるために、お付き合いでしょうがないか・・・」と思っている経営者の方は無理にお付き合いをする必要はありません。万が一、金融機関の担当者から「この申し出受けてくれなければ融資は出ません」と言われたら、それは「優越的地位の濫用」に該当し、そのような状況に遭遇した場合は、金融庁に連絡すればいいのです。

 

そして接待等を行えば資金調達ができる! いい条件で資金調達ができる!と思っている経営者の方はそんな事もありません。

 

そして今まで資金調達が難しかったのに、資金調達ができた企業。新型コロナウイルス感染症の影響で資金調達ができただけだと私は思います。

 

返済が開始されれば・・・

その時に返済ができない場合・・・

 

その時は金融機関も相談に乗ってくれて、返済についてもリスケ対応等はしていただけると思います。しかしそれは一時的な対応に過ぎないと思います。何をするにも資金がある時に物事の決断をするべきだと私は思います。つまりリスケを行う場合も、資金が底をついた時に行うのではなく、資金が潤沢にある時に行うのです。

 

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、資金調達をされた方に私は言いたいです!

 

返済が開始される前に、本当に返済が可能なのか?(少しでも返済額を減らすために金融調整を行う) 本当に返済が難しい場合、今どうすべきで、今後どの様にしていくのかを考える必要があると思います。

 

そして手元資金を潤沢にするために、次の方向性の検討をされてはどうですか?返済が開始する前に考えればいいのではなく、今から対策を考えるべきだと私は思います。

 

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この記事の著者

  • 山中 肇

    経歴:愛知県第二地方銀行 管理職
    主な実績:
    ・金融機関調整
    CF以上の返済を履行していた先に対し、金融機関の見直しを行い、CF以内の返済額への減額対応し実現。
    ・資金調達
    適正な金額・期間・調達方法のアドバイスを行い資金調達を実施。
    ・リスケ対応
    改善計画書を作成し金融機関に一緒に訪問しリスケ交渉の支援を実施し毎月の返済額の見直しを行い、予実管理まで実施。
    ・サービサー対応
    サービサーとの交渉に同席し、円滑な交渉をサポート。
    ・金融機関対応以外に租税関係の交渉同席、取引先への支払延期交渉同席等、些細な事から大きな事まで対応しております。

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