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中小企業には優秀な社員が来ない

社長の仕事は、未来をつくることです。未来には、近い未来と遠い未来がありますが、両方の未来をつくることが大切です。特に、会社を末永く存続・繁栄させるためには、人を中心にした未来、つまり現在の社員の幸せと、将来どのような人を採用し、いかに活躍してもらうかを考えなければなりません。中期経営計画に、社員数・職種・年齢などの採用計画を盛り込むことをお勧めいたします。

平均年齢50歳代

私 :「社長、当社の平均年齢は高いですよね。」

 

社長:「高いな。50歳代だよ。」

 

私 :「今後の採用は、どのようにお考えですか。」

 

社長:「直ぐにでも若い人を入れたいが、採用してもすぐに辞めてしまう。」

 

私 :「では、どうされるのですか。」

 

社長:「そうだな。頭が痛いな。」

 

現在の社員の平均年齢が50歳代であれば、当然10年後は60歳代になります。日本の超高齢社会の中で、定年退職の年齢が65歳に、公的年金の原則受給開始時期65歳については70歳まで働き、年金の受給を70歳に遅らせた場合などが議論される時代ですので、60歳代で働いていることは不思議ではありません。

 

ここで、改めて社長に問いたい質問があります。それは、「10年後、我社はありますか」という問いです。当然、我社は存続しているという答えが返ってくると思いますが、そのためには、これから10年間、人を採用しないということは考えにくいです。

 

また、会社の技術やノウハウを次世代の社員に継承していかなければ、更に20年後となると会社の存続は本当に難しくなります。逆を言えば、いくら素晴らしい技術やノウハウを現在保有していたとしても、人を採用しなければ会社は存続できないのです。

 

このように考えますと、採用計画は非常に重要であり、会社の存続を決定する要因のひとつです。しかし中小企業の場合、なかなか具体的に考え、行動に移すことができていません。

 

若手社員の採用方法や定着するための人材育成制度がないなかで新たに人を採用すると、コストばかりがかかってしまい利益を圧迫します。

 

ではどうするべきか。

 

結論は、利益を生む人を採用し定着させればよいのです。例えば、遠い未来をあまり考えず、人が辞めたから採用するという近い未来の対処程度で採用していた場合、利益を生むかどうか分からない人も、人手が不足するよりはよいという気持ちで採用してしまいます。これでは、利益を生む人を採用できません。

 

つまり、遠い未来、経営計画の中での採用活動が必要なのです。また、直ぐに利益を生む部門から優先して、採用活動を準備するべきであり、どの部門がそれにあたるかは、各会社で十分に吟味していただきたいです。

 

次によく言われるのが、「中小企業には優秀な人が来ない」という言葉です。そのように思うなら、優秀な人が応募したくなるような会社づくりや、採用活動や面接の在り方を研究し改革しなければなりません。全ては、社長の頭にあることが現実します。

 

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この記事の著者

  • 野上 智之

    公立大学法人北九州市立大学卒業、大手システム会社を経て、教育研修会社での新規部門立上げや西日本責任者としての実践により、収支損益の黒字化と人財育成がなければ、企業は元気にならないという強い信念のもと中小企業に特化した経営コンサルタントに転身。現在も10社を担当し各地でセミナーや研修を実施したり、地域金融機関との連携を実施。行政書士試験合格、宅地建物取引士、動産評価アドバイザー(TAA)、中小企業庁ミラサポ専門派遣登録専門家、プッシュ型事業承継支援高度化事業登録専門家(中小企業庁)、再生支援ネットワーク会議メンバー(広島)

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