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目標利益の確保

前回、値引きの落とし穴を検証しました。それでは、それを回避するための目標は、どのように設定すればよいでしょうか。前回の数字をもとに計算していき、本当の成長戦略を描きたいと思います。

目標利益の確保

私 :「社長、売上高を確認しますと、確かに伸びはあるようです。」

 

社長:「そうだろう。順調に伸びていると聞いている。」

 

私 :「しかし、売上高の伸びは微々たるもので、利益は値引き前に届いていません。」

 

社長:「なぜ、売上が伸びているのに、利益は伸びていないのか。」

 

私 :「それは、値引きの効果がそこまでなく、販売数に伸びがないからです。」

 

社長:「それでは、いったいどれだけ売ればいいのか。」

 

値引き前の提状況です。

 

売上高  400,000千

変動費  152,000千(変動比率38,0%)

限界利益 248,000千(限界利益率62,0%)

固定費  230,000千

経常利益  18,000千(経常利益率4,5%)

 

値引き後の提状況(販売数量の増減がなく固定費も同じ場合)です。

 

売上高  380,000千

変動費  152,000千(変動比率40,0%)

限界利益 228,000千(限界利益率60,0%)

固定費  230,000千

経常利益 -2,000千(経常利益率-0,5%) 赤字になります。

 

ここで、売上高を5%値引いても、値引き前と同じ経常利益を確保するためには、一体いくらの売上高が必要かを考えていきます。

 

売上高=(固定費+目標利益)÷限界利益率の算式を用いて計算します。

 

売上高=(230,000千+18,000千)/60,0%=413,333千。

 

これが、答えとなります。

 

413,333千/380,000千×100=108,8%となり、この販売数を確保する戦略があって初めて、値引きの効果が有効と言えます。単に売上高が伸びているだけでは、本当の成長戦略ではありません。しっかりと数字で確認をしてください。

 

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この記事の著者

  • 野上 智之

    公立大学法人北九州市立大学卒業、大手システム会社を経て、教育研修会社での新規部門立上げや西日本責任者としての実践により、収支損益の黒字化と人財育成がなければ、企業は元気にならないという強い信念のもと中小企業に特化した経営コンサルタントに転身。現在も10社を担当し各地でセミナーや研修を実施したり、地域金融機関との連携を実施。行政書士試験合格、宅地建物取引士、動産評価アドバイザー(TAA)、中小企業庁ミラサポ専門派遣登録専門家、プッシュ型事業承継支援高度化事業登録専門家(中小企業庁)、再生支援ネットワーク会議メンバー(広島)

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