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中小企業と銀行は利益相反しない?

いつからでしょうか、中小企業にとって銀行は「困ったときに相談する相手」とは言い難くなってきました。中小企業と銀行の心情的な行き違いは、長く問題になっています。本来は、共存共栄が前提であるはずなのですが…。

 

銀行に経営の悩みを相談することで、融資が出なくなってしまうのではないか、と考える経営者、自身の財務状況を健全化する、という目的でリスク(融資)をコントロールしようとした銀行、それぞれの立場がぶつかってしまった結果…、互いの利益が相反しているように感じられますが、状況は少しずつ変化しています。

中小企業と銀行は利益相反しない?

前世紀末ごろから特に、銀行は自身の財務状況を改善するために貸付金=融資、という資産評価を厳しく判定するようになり特にプロパー融資についてはなかなか実行できなくなりました。むしろ、回収を率先した銀行すら多かったのが実情です。

 

そうなると、企業側は景気が低迷している中でも銀行に隙を見せられない、場合によっては決算数値を操作してでも…、という動きになり回収したい銀行と、そんなことされたくない中小企業は利益が相反する関係になってしまった、という経緯があります。

本来の中小企業と銀行の関係

しかし、この状態は本来の姿ではありません。今後経済も縮小していくことが避けられない日本においては本来の中小企業と銀行の関係

 

銀行が企業への支援を断り続ける

 

⇒企業の存続が困難になる
⇒融資先が減少する
⇒銀行も存在できなくなる

 

ことで、今の状態のままでは銀行と中小企業は共倒れになるだけ、誰も、何も得られません。

新たな共生の形

既に融資取引自体は、地域金融機関の半分以上が赤字化しています。銀行は現在、

 

  • 新たな融資手法を開発・実行すること
  • 融資取引に依存しすぎないように、手数料取引・収益を増やすこと

 

を目指しています。より根本的には

 

  • 地域経済自体を活性化させるための企画から銀行が関与し盛り上げることで、銀行自身の将来も創っていく

 

ことを、「やらなければ、自分の未来もない」こととしてもはや先送りすることができません。この意味で、改めて銀行は地域経済の担い手として中小企業を必要としているのです。

企業の生き残りと銀行との共生

となると、共生するための中小企業の在り方、というのも必然的に決まってきます。

 

  • 小さくとも地域経済に必要な存在であること
  • 銀行の支援が得られれば、存在し続けることが可能であること

 

です。規模が大きくなくとも、社会性・存続性を示すことが、より銀行からの評価を得ることに繋がるわけですね。また、もう一点

 

  • 企業の課題や悩みを明示し、それを自社で可能な限り解決しつつ、経済的・金銭的な課題を融資で解決することを依頼する

 

こと、つまり企業側も勇気をもって銀行に話をすることが必須です。

 

弊社のお客様企業でも、これまでの常識では考えられなかった銀行からの支援を得られた企業様が存在しますが、そんな企業は全て、銀行との継続的な対話を実行し続けることで銀行の協力・支援をとりつけたと言えます。

 

銀行との関係性を、企業側も見直すことで、銀行からの評価を引き出す、そんな時代になったのです。是非御社も、もう一度銀行に何を伝えるのか、考えてみていただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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