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銀行が「経営理念」を確認してくる時は…

令和初の金融行政方針が2019年8月28日に金融庁から公表されました。タイトルは、「利用者を中心とした新時代の金融サービス」です。さまざまな内容が記載されていますが、ここでは経営理念に絞ってご紹介いたします。

経営理念

昨事務年度では、一昨年度において地域銀行106行中52行が顧客向けサービス業務の利益が連続赤字、うち23行は5期以上の連続赤字となっているなど、同利益が赤字となった銀行の多くで黒字転換できない状況が窺えることを指摘しました。

 

昨年度(2019年3月期)の顧客向けサービス業務の利益の状況を見ますと、経費の減少等により、連続赤字となっている銀行数は105行中45行と減少した一方 、5期以上の連続赤字となっている銀行数は23行から27行へと増加するなど 、黒字転換の進まない状況が続いています。

 

地域金融機関は、安定した収益性を確保し、金融仲介機能を十分に発揮することによって、地域企業の生産性向上や地域経済の発展に貢献することが求められていますが、たいへん厳しい状況です。

 

地域金融機関が、地域企業の生産性向上や地域経済の発展に貢献するためには、地域金融機関の経営陣が、確固たる経営理念を確立し、これと整合的な経営戦略・計画を策定し、例えば、本部においてはコスト・リターンのバランスの確保を図りつつ営業店との連携強化を進める一方、営業店においては顧客本位の営業を行うことにより経営戦略を実践するなど、経営理念・戦略を適切に実行に移していく必要があります。

 

また、その実施状況について、評価・進捗管理や、経営理念と実践の整合性等の確認を行った上で、様々な経営分析や調査も活用し、経営戦略の実践を阻害する要因を特定し、改善策の策定・実行につなげていく必要があります。

 

こうした観点から、金融庁としては、経営理念の下での戦略・計画の実行、PDCAの実践状況、収益管理の取組状況等について、地域金融機関の各階層、社外取締役とフラットな関係で対話を実施していきます。

 

また、将来にわたる収益性・健全性の確保の観点から懸念のある地域金融機関に対しては、早期警戒制度を活用しつつ、モニタリング等を実施していきます。

 

以上のように言われており、地域金融機関の「経営理念」に基づく運営を重視します。地域金融機関だけが儲けさえすればよいという考えは、もはや通用しません。さらに言えば、お金を儲けることはとてもよいことですが、それはあくまでも手段であり、「本来も目的は何ですか」と問いを投げかけられているのです。

 

私が思うに、この問いに対して回答できる地域金融機関が、これからも収益を上げ続け、世の中に存続していくのだと思います。逆に、この問いに対して回答できない地域金融機関は、考え方を180度転換しないと生き残れません。

 

これは私の予測ですが、これから地域金融機関は、中小企業へ「経営理念」について確認してくると思います。

 

ここから事業性評価に繋げることも十分に考えられますので、経営者様におかれましては、今まで以上に「経営理念」に対しての説明ができるように準備をしておいていただきたいと思います。

 

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この記事の著者

  • 野上 智之

    公立大学法人北九州市立大学卒業、大手システム会社を経て、教育研修会社での新規部門立上げや西日本責任者としての実践により、収支損益の黒字化と人財育成がなければ、企業は元気にならないという強い信念のもと中小企業に特化した経営コンサルタントに転身。現在も10社を担当し各地でセミナーや研修を実施したり、地域金融機関との連携を実施。行政書士試験合格、宅地建物取引士、動産評価アドバイザー(TAA)、中小企業庁ミラサポ専門派遣登録専門家、プッシュ型事業承継支援高度化事業登録専門家(中小企業庁)、再生支援ネットワーク会議メンバー(広島)

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