会社の「強み」と「弱み」は答えにくい?
・銀行は融資先をもっと知らなくては
・銀行は、もっとコンサル機能をもって融資先を支援しなくては
・融資先の課題を把握して、改善状況をチェックしていくことで評価を行わなくては
色々な言葉で、銀行の融資先企業評価に新たな切り口を持つことが表現されています。銀行員は、改めて企業を知るため、経営者に質問をすることになる訳ですが…。
ここ1~2年で、「御社の強み(弱み)は何でしょうか?」という質問を受けた経営者は、多いことでしょう。
企業の事業の把握・課題の把握において「強み」「弱み」を確認することは基本中の基本です。経営改善計画書等の書式においても、会社の「強み」「弱み」を記載する項目は、ほぼ確実にあります。従って、銀行員からそんな質問がきてしまうこと自体は、経営者の方にもご容赦いただきたいのです。しかし…、いきなり「強み」「弱み」を聞かれても、即答できる方は限られます。実際、意外と難しいのです。
「強み」「弱み」の把握は、事業の把握の基本だが
なぜなら、「強み」と「弱み」は、反対にあるものではなく、表裏の関係にあるから。
例を挙げてみますと
・うちの会社は「社長の営業力」が強み
・「社長以外に営業できる人がいない」が弱み
どちらが正しいでしょう?社長一人が営業を担っている、という一つの出来事が、どちらにも解釈できます。
・「コミュニケーションができている組織」が強み
・「風通しが悪い」が弱み
正反対の内容ですが、実際に同じ会社で挙げられたものです。社長が良かれと思っていても、他社員にとってはどうなのでしょう?人によって、置かれた立場によって見える景色が違うことは、十分以上に起こり得ます。
「強み」「弱み」の切り分け方
強み、と思っているが、本当にそれでいいのか一つのポイントだが、強み・弱みどちらなのか?「強み」「弱み」の切り分けに自信をもって行うために、下記をお勧めしています。
1.「基準値」は未来に向けた視点とする
未来に対してどうなのか、という考えを基準にします。先の例でいえば、社長の営業力に自信があっても、一方で他の方の営業力に不安がある、ということならば
・今後営業社員を育てる時間の余裕があり、また当面売上を大幅に拡大する計画がないならば、強みとできるのでは
・売上拡大路線をとるのに、社長の営業に使える余裕が今以上ない、というなら弱みとするべきなのでは
将来的に事業をどうしていきたいかが決まっていれば、切り分けするためのヒントになります。
2.「全社」か、「社内の一部」か(誰にとってか)を明記する
真逆の考え方がでた場合、「誰にとって強みか、弱みか」を明記することで、混同を避けることができます。
先の例では、「社長にとってはコミュニケーションをとりやすい」が、「一部社員にとってはそうではない」という強み・弱み双方を考えることも可能です。
また、誰かにとっての強みが、他にとって弱みというのは、それ自体が社内的な改善ポイントになり得ます。「浸透できていない」ことだからです。
3.あくまで、「強み」「弱み」は表裏、紙一重の差
弱みは逆転させれば強みになるものです。
「この地域にしか顧客がいない」ならば、その地域でのシェアトップを狙うことができれば強みになる目がありますよね。何に踏み込むのか、という覚悟の問題です。
「強み」の認識は中小企業が生き残るための戦略を考える出発点です。基本ではあるが、奥の深い「強み」の判定。ここをどうするかで必要な利益や資金も、経営目標も変わります。
きっちり答えられる経営者は、まだ少ないのです、だからこそ、答えられる経営者は銀行からも着目されます。
なにより、「強み」「弱み」の把握は銀行というより、御社自身の経営改善の出発点ですから、改めてご一考されるのもよろしいのではないでしょうか?
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