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現経営者と後継者の対話の本質は何かを理解する

現経営者と後継者との対話を推奨していますが、対話の本質は何かを理解していないと、親子喧嘩になってしまい、決裂することがあります。現経営者も後継者も本当はもっとお互いを知り合い、助け合いたいのに、全く逆の結果になってしまい残念に思うものです。

傾聴とは

傾聴とは、人の話をただ聞くのではなく、注意を払って、より深く、丁寧に耳を傾けることです。自分のききたいことをきくのではなく、相手が話したいこと、伝えたいことを、受容的な態度で真摯に聴く行為です。

 

ここで、「きく」という言葉を3つの漢字と英単語に置き換えて考えてみます。

 

 聞く ・・・ 自然に耳に入ってくる(hear)

 聴く ・・・ 積極的に耳を傾ける(listen)

 訊く ・・・ 尋ねる、問いただす(ask)

 

少しニュアンスが異なることが分かるのではないでしょうか。

 

事業承継での場面での「きく」は、現経営者から後継者への「訊く」を多く見ます。それは、現経営者が知りたい情報を入手するためや言いたいことを言っているだけで、後継者の気持ちに関わらず、一方的に質問しているのです。

 

質問と言える範囲ならまだいいのですが、警察官が職務質問をしているように聞こえます。つまり、質問ではなく詰問なのです。

 

それでは、後継者は現社長から責められている感覚となり、本音を語ることができなくなります。効果はマイナスのみであり、お互いの気持ちや関係性を深めたい場合、決してしてはならないことなのです。

 

例えば、こんな口調です。「おまえはどうして・・・?」

 

私はこの「どうして」に、答えは無いと思います。つまりは、現経営者が思い描く発言や行動をしろと押し付けているだけであり、後継者から望まれる回答は、「すみません。以後気を付けます。」なのです。

 

しかし、後継者も後継者なりの考えや感情がありますので、すんなりと現経営者が望む答えを言いません。だから、決裂するのです。

 

そんな時現経営者は言われます。

 

「またやってしまった。もう少し辛抱しないと」と。

 

本心はもっと仲良くなのに、現実は決裂です。とても悲しい瞬間です。私は、そうならないためには、第三者の参加をお勧めします。客観性と冷静さが、よい方向に導いてくれます。

 

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この記事の著者

  • 野上 智之

    公立大学法人北九州市立大学卒業、大手システム会社を経て、教育研修会社での新規部門立上げや西日本責任者としての実践により、収支損益の黒字化と人財育成がなければ、企業は元気にならないという強い信念のもと中小企業に特化した経営コンサルタントに転身。現在も10社を担当し各地でセミナーや研修を実施したり、地域金融機関との連携を実施。行政書士試験合格、宅地建物取引士、動産評価アドバイザー(TAA)、中小企業庁ミラサポ専門派遣登録専門家、プッシュ型事業承継支援高度化事業登録専門家(中小企業庁)、再生支援ネットワーク会議メンバー(広島)

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