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営業社員の言い訳

財務省から、2024年度上期をめどに1万円札、5000円札、1000円札の紙幣と500円硬貨を全面的に刷新すると発表されました。そして、1万円札表面の肖像画には、渋沢栄一さんが選ばれました。私は以前から渋沢栄一さんの書籍に大変関心を持っており愛読しています。

営業社員の言い訳

私 :「社長、顧客単価を月次推移で見て見ますと、下落傾向にありますが?」

 

社長:「そうなんだよ。先般も営業マンに注意をしたんだ。」

 

私 :「どうしてこんなに安く売っているのですか?」

 

社長:「営業マンは、お客様の要望ばかり受け、安さが顧客のためと思っている。」

 

私 :「確かにお客様は安ければ喜ぶでしょうが、それでは経営できません。」

 

社長:「営業マンは、経営理念に顧客第一と掲げているので当然と言っている。」

 

渋沢栄一さんが書かれた「論語と算盤」を参考に検討していきます。論語とは人格形成や道徳、算盤とは利益追求や経済を表しています。まさに中小企業経営の本質であると思います。そして、このバランスがとても大切であると感じます。

 

例えば、自社の利益ばかりを追求し過ぎると、その商品やサービスに欠陥品があったりして購入した消費者が不愉快になったり、ケガをしたりするかもしれません。仮にこのようなことが起きたら、すぐにSNSで情報は拡散され、それを販売した中小企業の存続自体が危うくなるまでの深刻なことにもなりかねません。

 

また、今は消費者に品質の悪さが知られていなくても、そのよう不誠実な行いを続けていれば、安定した経営は決して長くは続きません。

 

一方、社員の生きがいや幸せなどを優先し過ぎると、なんでも許される甘い社風になることもあり、会社の利益よりお客様からの感謝の言葉を優先して自己満足に浸ります。具体的には、値引きの横行やお客様からの無理な要望まで受けていくことです。確かにお客様の喜んでもらうことは大切ですが、これでは経営は困難です。あらため言いますと、どちらも大切でありこのバランスが大切なのです。

 

論語には、時代が変わっても変わらない人間の本質があり、人はどう生きるべきかなど自分の人生を振り返るきっかけがあります。

 

書籍になかに

 

「昔の学問と今の学問を比較すると、昔は心の学問ばかりだった。一方今は知識を身につけることばかりに力を注いでいる」

 

と書かれています。私も確かにそうだと思っています。また、

 

「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」

 

と二宮尊徳さんも言われています。

 

経営理念の本質を社員は理解をしているかを振り返り、会社第一、社員第一、お客様第一とのバランスをここで検討されては如何でしょうか。

 

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この記事の著者

  • 野上 智之

    公立大学法人北九州市立大学卒業、大手システム会社を経て、教育研修会社での新規部門立上げや西日本責任者としての実践により、収支損益の黒字化と人財育成がなければ、企業は元気にならないという強い信念のもと中小企業に特化した経営コンサルタントに転身。現在も10社を担当し各地でセミナーや研修を実施したり、地域金融機関との連携を実施。行政書士試験合格、宅地建物取引士、動産評価アドバイザー(TAA)、中小企業庁ミラサポ専門派遣登録専門家、プッシュ型事業承継支援高度化事業登録専門家(中小企業庁)、再生支援ネットワーク会議メンバー(広島)

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