子供に会社を継がせることはやっぱり難しい
今、事業承継が課題になっている多くの中堅・中小企業の社長さんが多くいらっしゃると思います。先日もある会合で一人の経営者の方と事業承継の事が話題になりました。
どうやらその社長はご子息に会社を継がせようとしているのですが、ご子息に継がせることの難しさを感じておられる様でした。書物を読んだりセミナーに参加したりして事業承継の勉強もされているようです。
事業承継には、経営権、株式、事業資産のそれぞれの承継が必要である事も理解されています。しかし、その一方でセミナー、書物では解決できないことが絶対にあります。
その社長曰く、自らが苦労して商売をしてきただけに、子供には苦労をかけさせまえとしたことが、いざ会社を承継する時に仇になってしまうのではないか?苦労をしていない息子に継がせたのでは、厳しい経営、商売をするのは難しいのではないかと悩まれているようです。
これを聞いて、子供に継がせる事業承継はつくづく難しいものであると感じます。小生の考えは、ご子息がいて継ごうと意思表明をしているのならば、親族内の承継は是非ともしてもらいたいと思っています。
ただ、この社長さんのように心配事も付きまといます。そこで、会社を継ぐ人、継がせる人で共通のベクトルを揃えてみてはどうでしょうか?私が考える共通のベクトルとは言い換えれば共通の〝経営の判断基準″を持つと言うことです。
会社を継げば必ず経営上の問題に直面します。その時です、
「親父だったらこの問題どのように解決するだろうか?」
いざ判断をしようと思った時、
「いや親父はやっぱり私のやり方には反対するはずだ!」
この時に共通の判断基準があればその経営上の課題は円滑に解決されるように思います。共通の判断基準を持つという事は、継がせる社長から継ぐご子息への遺言のようなものです。
会社を継がせる人から継ぐ人へこの共通の経営〝判断基準″を作り、勉強し継承すれば子供に継がせる難しさは多少払拭できるのではないかと思います。
執筆:沖原厚則
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