金利は高いが長年付き合いがあり、困った時も必ず支援してくれる地域金融機関
ある信用金庫の若手行員が嘆いていました。それは、他行と比べると当金庫の調達コストは高いため、当然に金利は高くなり、他行に勝てないと言うのです。私はその言葉から、金利競争が現場での大きな悩みであり、営業成績を伸ばせない要因の一つなのだと感じました。
金利だけではない
世の中には、さまざまな経営者がいらっしゃいます。確かに金利が安いところばかりを追い求め、メインバンクを変えていく方もいます。しかし、そんな経営者ばかりでしょうか。私はそうは思いません。金利が高いより安いに越したことはありませんが、それが選択要因の全てではないということです。
そして、金利だけで地域金融機関を選ぶ経営者はこちらから距離を置き、金利だけではない経営者を地域金融機関は選ぶべきです。
例えば、カレーを食べたいと思いお店に行くとします。A店は500円、B店は1,000円と市場のカレー価格はさまざまです。この時の顧客心理で、値段だけを優先すればA店に行くでしょう。しかし、A店が自宅から遠くて1時間かかるなら、選択しないかもしれません。また、味にこだわっていたり、お店の雰囲気や店員のマナーが良かったりという理由が勝ればB店に行くでしょう。
つまり、全ての人が価格だけでお店を選ぶわけではないということです。逆に言えば、価格以外の特徴を地域金融機関は持つべきです。ある経営改善の場面において、私が、仕入れ価格が少し高いことに気づき、社長に他社との相見積もりにより仕入れ価格を下げ、粗利率を改善しましょうと提案すると「そうだ」という社長と「いやそうではない」という社長に分かれます。
「そうではない」という社長の主張はこうです。
「その仕入れ先は、創業から50年の付き合いであり、先代社長も大変お世話になった。過去に経営が厳しかった時、支払いを待ってくれたこともあり、価格が高いとか安いとかでの付き合いではない」と言われます。
また、
「確かに大手から仕入れれば安く仕入れることは可能であるが、そうなると地元で頑張っている業者の売り上げが下がり、地域が衰退する」と言われます。
この言葉を地域金融機関に置き換えますと、「金利は高いが、長年の付き合いがあり、当社の事業をしっかり見て事業に役立つ付加価値を常に提供してくれ、困った時も必ず支援してくれる」となります。
また、コミュニケーションを頻繁にとり、親身になって一緒に考えてくれる、スピード感をもって対応してくれる、丁寧などは、多くの中小企業の経営者が期待しています。最後は、人と人との信頼関係なのです。雨の予兆で傘をさす地域金融機関になってほしいと思います。
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