銀行員に求められる「目利き力」とは!?
エクステンド事業性評価推進室室長 野上智之が日ごろセミナー等で好評だった内容を抜粋し、経営者向けに編集しお送りさせたいただくという1ワンポイントアドバイスコラムです。
金融機関への理解を深めご活用いただけるよう様々な角度からお伝えします。
銀行員に求められる「目利き力」とは!?
目利き力と聞いて、多くの銀行員は最近、金融庁から事業性評価という言葉をよく聞くのでそのことを指していると考えています。辞書では「目利き」という事は以下のように書かれています。
- 書画・刀剣・器物などの真偽や良しあしを見分けること。また、それに優れた人
- 人の性質・才能などを感得する能力があること。また、その人
- 目が利くこと、見分けること。
私はそのなかで2に記載されている「感得」に注目します。感得とは、ものの真理などを感じ取ることであり、この真理を感じ取る能力です。よくテレビの刑事ドラマで使われている犯人を直観で突き止めるようなものです。これにはさまざまな経験がひつようです。
次に金融庁が言う「目利き能力」検討します。目利き能力とは、融資の審査において、顧客の技術力や販売力などの定性面の勘案を含め、顧客の事業価値を適切に見極めるための能力を指します。
ここで実務において問題となるのが、定性面でしょう。
定性面とは、市場動向・経営理念・社歴・経営者の人柄・社員構成技術力・販売力・取引先などですが、これらをどう見極めるのかということが定量面に比べるとはっきりしません。
ある人は技術力があり売り上げは上がると判断し、ある人はもう時代遅れなので売り上げは上がらないと判断します。定量面であれば、10は8より大きいし、6は8より小さいと多くの人の判断は争うことなくまとまります。
10とか8とかは数字ですが、銀行員にとっての判断基準は「決算報告書」となります。
決算報告書も当然確認はしますが、この書類に記載されている数字は過去のみです。これからどのようになっていくかという未来は書かれていません。先ほど記載した技術力があり売り上げは上がるとか上がらないというのは、未来の判断です。
つまり、過去の数字を見てその時点の判断はできますが、その数字を生かして未来を予測することは人によるということがわかります。
確かに銀行員は、取引先企業の細かいところまで把握することは不可能であり、専門性が高くなればなるほど、理解に苦しむことになると思います。
だからと言って取引先企業の未来を否定する権利は全くありません。しかし、残念なことに、ある銀行員一人の知識不足や判断能力不足によって、中小企業の未来が閉ざされることもあります。
すべての銀行員は、未来ある企業に対して判断ができないからという理由で、マイナス評価ばかりをしないで、上司に相談しながら適切な判断をしてほしいと思います。そして、これからの未来ある企業を共に育ててほしいと思います。
未来ある企業としての判断基準が「事業性評価」という形で基準値され、査定に取り入れようとしています。この「事業性評価」という単語だけでも覚えておくことは資金調達の面で優位性があるでしょう。
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