事業承継していく過程での羅針盤
一般的に3月は決算を向かえる企業が多いと言われていますが、申告法人数の実に約20.0%が3月に決算を据えているようです。
そして、「税金」という言葉を聞くのもこの時期です。
先日、小生が参加している経営者の勉強会後の会食でこの税金について、ある経営者と話をする機会がありました。
この企業は3月に決算を向かえるのだそうですが、1月迄は計画の進捗が芳しくなく、2月にほぼ計画をクリアーする数字を出されたようです。
そこで節税対策をすることは難しいのではないですか、と問いかけますと何とその経営者は税金については、計画時から「経費」と考えているので、初めから節税は考えていないとの事でした。
若い時は、経常利益が事業の利益と考えていたようですが、納税が義務であることから税金と銀行利息は経費であると考えるようになったそうです。そして、粗利益から販管費に税金及び利息を加えて引いたものが事業利益である考えるようになったとの事です。
では、なぜこのように考えるようになったのですかと問いかけると、社員に対する分配にしても、内部留保した金額にしても利益を公明正大に使いたいというお考えのようです。
このような考え方をする経営者を流石と思う反面、なるほど節税に注力するより納税してもらうことに注力していれば、元気な中小企業の数も多かったのではと思ったりもしました。
本日も引き続き、親族内の経営承継について少しお話をしたいと思います。
親族内に後継者候補がいる場合、まず次の3つのポイントを押さえて欲しいものです。
- 後継者に経営者としての資質があるか?
- 後継者自身に経営を継ぐ意思があるのか?
- 後継経営者として社内外の利害関係者と良好な関係を構築できそうか?
そして、この3つのポイントが解決出来た段階で、
- 後継者の資質の再確認を行う
- 資質に応じた育成の仕方を考え、実行する
- 経営権と財産権の引継方法についての検討・準備段階に入る
- 家族会議を重ねた上で、承継へ移行する為の計画作成に入る
- 税金・株価・遺留分に対し対策を立て、実行に入る
- 後継者が経営をやりやすくする為に環境を整備する
と言ったところでしょうか。勿論、経営は各論ですから現経営者によって承継の考え方に違いがあるわけですが、ポイントを押さえて実行していく事は、承継していく過程で羅針盤になってくれることでしょう。
執筆:沖原 厚則
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